毎年替わるゴルフ賞金女王争いの顔ぶれ 稲見萌寧と小祝さくらが「今年強い」理由
「THE ANSWER」が各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」。女子ゴルフでツアー通算6勝を挙げた北田瑠衣(フリー)は「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務める。2006年から10年連続でシード権を保持した実力者。ゴルフ界のトレンドやツアーの評論、自身の経験談まで定期連載で発信する。
「THE ANSWER スペシャリスト論」女子プロゴルファー・北田瑠衣
「THE ANSWER」が各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」。女子ゴルフでツアー通算6勝を挙げた北田瑠衣(フリー)は「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務める。2006年から10年連続でシード権を保持した実力者。ゴルフ界のトレンドやツアーの評論、自身の経験談まで定期連載で発信する。
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今回のテーマは「稲見萌寧と小祝さくらはなぜ強いのか」。今季8勝で東京五輪銀メダルにも輝いた賞金ランク1位の22歳・稲見、5勝で同2位の23歳・小祝。毎年のように賞金女王争いの顔ぶれが替わるツアーで、今、最も勢いのある2人の強さはどこにあるのか。ゴルフをあまり知らないライト層のファンにもわかるよう、北田がキャラクターの違う2人の共通点や長所を解説し、ジュニア世代が学べるポイントにも触れた。
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2人とも他の選手より対応力があると思います。小祝選手が勝った8月のCATレディースはグリーンのスピードが速かった。苦戦する選手もいる中、小祝選手と稲見選手が競り合いました。毎週試合をしていますが、コース、天気、風などへの対応力、我慢が必要です。しっかり計算しながら自分のプレーができているように見えました。
彼女たちの若さであれだけの対応力、経験値があるのは凄いこと。調子がよくなくても上位にいられるし、ショット、パットがかみ合った時はしっかり優勝している。2人に強さを感じます。あとは365日、24時間ゴルフのことを考えている。もちろん、他の選手も考えているとは思いますが、稲見選手は優勝した翌日も普通に練習している。「ショットがうまくいかない」とか言いながら(笑)。「え!?」って驚きますし、尊敬しますね。
2人は強い向上心があり、常に高い目標を追いかけています。他の選手も練習はしています。でも、2人はただ漠然と優勝したいだけじゃない。口には出していないと思いますが、明確な高い目標があるはずです。それは夢ではなく、自分が絶対に叶えたい目標。それに向けて練習量、質を計算しながらやっているのだろうと思います。1勝でも凄いことですが、1勝は通過点なんだと感じます。
個々に見ると、小祝選手は総合的に安定感があり、凄い集中力もあります。自分を高める力が凄い。優勝争いに動じない。CATレディースではリーダーボードを見なかったと言っていました。難しいコースコンディションの中でスコアを伸ばして優勝。最終18番できっちりバーディーを獲ったところに強さを感じました。
どちらかというと内に秘めるタイプで、自分から「絶対に勝ちます」という発言もあまりしない印象です。「頑張って優勝できたらいいですね」というスタンス。だから、プレー中と後の雰囲気もガラッと変わるし、コメントを聞いていても面白いですよね。
稲見選手が優勝した昨年のスタンレーレディスで、私はラウンドリポーターをしていました。インタビューでは「ショットも全部入れるつもりだった」と話していました。それを聞いた時、「この子凄いな」と思いましたね。少し強気で「絶対に勝ちます」と有言実行するタイプ。優勝した直後は忙しくなるのですが、私がインスタグラムで祝福のコメントを送ったらきっちり返してくれる。そういう姿も凄いなと感じました。