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バスケのピック・アンド・ロールって何? スクリーンとの違いとは

この記事では、ピック・アンド・ロールとは何なのか、ピック・アンド・ロールのやり方やディフェンス方法、伝説デュオなどについて解説します。

ピック・アンド・ロールを解説
ピック・アンド・ロールを解説



 ピック・アンド・ロールとは、ボールを持った選手をガードしているディフェンダーに対してスクリーンを仕掛け、それを利用した後に、スクリーンの“壁”になった選手が方向転換し、空いたスペースへ走り込んでボールを受けるプレーです。

 スクリーンプレーの際に、スクリーンを利用する選手を「ユーザー」、スクリーンの“壁”となる選手を「スクリーナー」と呼びます。主にユーザーはポイントガードやシューティングガードなどの比較的小柄でボールハンドリングに優れた選手、スクリーナーはセンターやパワーフォワードなどの体格の良い選手が務めます。それでは、プレーの名前になっている「ピック」と「ロール」とは何なのでしょうか。


ピックとは


 ピックとは、ピックプレーの略でボールを持った選手をガードするディフェンダーの進路に“壁”を作って進路を塞ぐことです。つまり「スクリーン」のことです。ピックプレーによってボール保持者に空間的にも時間的にも自由を与える効果があります。


ロールとは


 ロールとは、ロールターンの略でディフェンダーが背中側にいる際、相手を巻き込むようにくるりと回転するプレーです。ターンした後には主にゴール方向の空いたスペースへポジションを移します。

 つまり、ピック・アンド・ロールとはこの2つを合わせたプレーなのです。


ピック・アンド・ロールのやり方



 次にピック・アンド・ロールが実際にどのようにプレーされるのか、そのやり方を上の動画を見ながら説明していきます。先生は、2002年から2007年までスパーズでアシスタントコーチを務め3度のNBA優勝を経験し、トレイルブレイザーズなどでヘッドコーチを務めたP・J・カーリシモさんです。ピック・アンド・ロールは「バスケにおいて最も重要なプレー」と説明しています。

・まず1つ目のポイントは「スクリーンがセットされるのを待つこと」。もしもボールを持った選手が待ちきれずに早く動いてしまうと、スクリーナーが動いたとみなされるイリーガルスクリーンの反則をとられる可能性があります。

・2つ目のポイントは「広いスクリーンをセットすること」。ディフェンダーがすり抜けてボールホルダーについていく隙間を作らないことが重要です。スクリーナーを務めているポール・ジョージが、しっかりと踏ん張りの利く体勢をとっていることが分かりますね。

・3つ目のポイントは「ディフェンダーの動きを読むこと」。スクリーンを利用した後に起こりえる4つの結果を紹介しています。1つ目はボールホルダーがそのままゴールへ突入するもの。良いスクリーンをすることでボールホルダーをガードするディフェンダーが置いて行かれるパターンです。

 2つ目はボールホルダーをガードするディフェンダーが、スクリーナーのゴール側(アンダー)を通ってついて行こうとするもの。その際ボールホルダーは止まって追いつかれる前にシュートを放ちます。ディフェンダーは遠回りしているのでシュートに間に合いません。

 3つ目はスクリーナーにつくディフェンダーがボールホルダーにつくディフェンダーのヘルプに動き、ダブルチームを仕掛けるような形になるもの。この際スクリーナーはゴールの空いたスペースへポジションを移してボールを受け、シュートを放ちます。ジョージがくるりとターンしてピック・アンド・ロールが完成しています。ゴールへ向かう動きは「ダイブ」と呼ばれることもあります。

 4つ目は、シュートタッチの良いスクリーナーの場合、ボールホルダーがスクリーンを利用した後にディフェンダー2人を引き連れ、離れた位置に移動したスクリーナーがボールを受けて中長距離のシュートを打つもの。ピックプレーの後、スクリーナーが止まらずにきちんと移動することが重要です。ボールホルダーも十分にディフェンダーを引き付けることが求められます。アウトサイドへ瞬時に向かう動きは「ポップ」と呼ばれることもあります。


ピック・アンド・ロールのディフェンス


 ピック・アンド・ロールをディフェンスする際、いくつかの点に気を付ける必要があります。まずはボールホルダーとスクリーナーをガードしている2人のディフェンダーがきちんとコミュニケーションをとり合うことが重要です。それぞれのガードしている選手についていくのか、対峙する相手を入れ替える(スイッチ)のか、素早い判断と意思疎通が必要です。

 スイッチする際に注意しなければならないのはミスマッチです。オフェンス側はスクリーンを仕掛ける際、スクリーナーにつく大柄なディフェンダーとボールホルダーにつく小柄なディフェンダーを入れ替えることで、パワーや高さ、スピードのミスマッチを作ろうとします。そのため、ディフェンダーはマークする相手をできるだけスイッチせずに相手を追いかけられる位置をキープし、スクリーナーをすり抜けたり簡単にスクリーンを使用させないポジションをとる必要があります。


ピック・アンド・ロールの伝説的デュオ



 90年代のジャズの黄金期を築いたNBA史上最強と言ってもいい、ジョン・ストックトンとカール・マローンのデュオはピック・アンド・ロールを武器にリーグを席巻しました。

 高いバスケIQを武器に的確に試合を読む正統派ポイントガードだったストックトンと、屈強な体格と優れたシュートタッチを持つパワーフォワードだったマローンは、息の合ったコンビネーションから得点を量産。ストックトンはNBA歴代最多アシスト記録、マローンはカリーム・アブドゥル=ジャバーに次ぐ通算得点記録を打ち立てました。

 彼らのピック・アンド・ロールは基本的なプレーのためシンプルなものの、効果抜群で分かっていても止められないプレーでした。


ピック・アンド・ロールの類似プレー


 ピック・アンド・ロールに似たプレーはいくつかあります。ここでは主なプレーを紹介します。


スリップ


スリップ
スリップ


 スリップとはスリップ・ザ・スクリーンの略で、ボールホルダーがスクリーンを利用する前に、スクリーナーがゴール方向などへ動くプレーのことです。アーリーリリースと呼ばれることもある、いわばスクリーナーが仕掛けるスクリーンのフェイクです。

ピック・アンド・ポップ


ピック・アンド・ポップ
ピック・アンド・ポップ


「ピック・アンド・ロールのやり方」の章のでも紹介した、アウトサイドへ瞬時に向かう動き「ポップ」を活用したプレーです。ほとんどの場合、ピック・アンド・ロールではスクリーナーがゴールへ向かいますが、ピック・アンド・ポップでは、反対にアウトサイドへ向かいます。シュートの得意なビッグマンが増えている現代のNBAでは、よく見られるプレーのひとつです。

(THE ANSWER編集部)

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