韓国女子ゴルファーが世界で勝てる理由 背景に「強くならないといけない」育成環境
申ジエは「いい意味で周りを気にしない」、駆け引きや勝負強さも存在
私が実際に見た中で、裏で凄く努力しているんだろうなと思った選手は申ジエ選手ですね。初めて一緒にプレーした時は、世界ランク1位だったと思います。飛距離は私とあまり変わらなかったけど、球の質が全く違う。スピンコントロールなど、全て計算し尽くしてプレーしていました。難しいことをしているわけではなく、より簡単そうにゴルフをしていました。
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あの時は眼鏡をかけてニコニコしていたけど、笑顔の裏ではどんなふうにゴルフを感じてプレーしているのかな、ちょっと不気味だなと思ったくらいのプレーぶり。隙がないゴルフ。世界No.1ってこういうプレーをするんだと非常に衝撃を受けました。一打一打に時間をかけることに関して本人に聞いたことがありますが、「ルールの時間内でやっているから」と。普通なら競技委員がチェックに来ると焦ってしまう。ジエはいい意味で周りを気にしない印象がありました。
他の韓国選手も自分に集中する力があると思います。ゴルフは個人競技でも、対人の駆け引きがあります。勝負強さを持っていますよね。イ・ボミ選手はプレーオフに凄く強い。ジュニア時代、常にトップにいないとサポートを受けられなくなるという厳しい環境の中でやってきたことが生きているのかもしれません。ここ一番の強さに出ていると感じます。
言葉に出して有言実行する選手が多い今の日本の若手と比べると、韓国選手にはグッと内に秘めた強さを感じます。強気な部分をあまり言葉に出さない。韓国選手はとても礼儀正しくていい子ばかりです。
日本が韓国ゴルフ界から学べる部分は、海外に触れる姿勢を持つこと。去年活躍した笹生優花選手は、小さい頃からほとんどフィリピンで生活していましたよね。海外のゴルフ場をたくさん経験して日本に戻ってきました。日本はコーチ、トレーナーも「日本人対日本人」が多い。韓国は米国人やいろいろな国のコーチを取り入れています。もちろん、日本人同士だから悪いというわけではないのですが、ゴルフの考え方も幅広く、世界に向けてやっている印象です。
渋野日向子選手、畑岡奈紗選手、河本結選手たちのように、世界に向けて挑戦する選手がどんどん増えていってほしいですね。私は海外経験がほとんどないのであまり言えませんが、今となって思うのは、若い時にしかできない経験を積極的にしていってもらいたいということ。体力的にも、精神的にも若い時だからこそできる。そこで経験したことを今度は日本に帰って伝える。そういう選手が増えていけば、もっとレベルも上がりますし、視野が広がっていくと思います。
■北田瑠衣/THE ANSWERスペシャリスト
1981年12月25日生まれ、福岡市出身。10歳でゴルフを始め、福岡・沖学園高時代にナショナルチーム入り。2002年プロテストで一発合格し、03年にプロデビュー。04年はニチレイカップワールドレディスでツアー初優勝し、年間3勝で賞金ランク3位。05年には宮里藍さんとペアを組んだ第1回女子W杯(南アフリカ)で初代女王に。06年から10年連続でシード権を保持した。男女ツアーで活躍する佐藤賢和キャディーと17年に結婚し、2児のママとして子育てに奮闘中。
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(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)