原英莉花がブレイクできた理由 「遺伝子レベルで最強」とつぶやいた北田瑠衣の分析
「THE ANSWER」は各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」をスタート。女子ゴルフでツアー通算6勝を挙げた北田瑠衣(フリー)が「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務める。2006年から10年連続でシード権を保持した実力者。ゴルフ界のトレンドやツアーの評論、自身の経験談まで定期連載で発信する。
「THE ANSWER スペシャリスト論」女子プロゴルファー、北田瑠衣
「THE ANSWER」は各スポーツ界を代表するアスリート、指導者らを「スペシャリスト」とし、第一線を知る立場だからこその視点で様々なスポーツ界の話題を語る連載「THE ANSWER スペシャリスト論」をスタート。女子ゴルフでツアー通算6勝を挙げた北田瑠衣(フリー)が「THE ANSWER」スペシャリストの一人を務める。2006年から10年連続でシード権を保持した実力者。ゴルフ界のトレンドやツアーの評論、自身の経験談まで定期連載で発信する。
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今回は「原英莉花がブレイクできた理由」。2020年、原英莉花(日本通運)はツアー通算2、3勝目を挙げた。渋野日向子(サントリー)、畑岡奈紗(アビームコンサルティング)らと同じ1998年度生まれの黄金世代と呼ばれる学年。21歳にして、ブレイクできた要因は何だったのか。技術的に成長した部分はもちろん、“美しいだけじゃない”プロゴルファーとしての魅力に迫る。
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ツアー屈指の人気選手となった原の魅力は何なのか。新型コロナウイルス感染拡大の影響で3か月遅れた開幕戦で5位。8月の2、3戦目は予選落ちしたが、10月の日本女子オープンで1年4か月ぶりのツアー2勝目を挙げ、「日本女子No.1ゴルファー」の称号を手にした。
さらに20年最終戦のJLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップでは、初日から首位を譲らない完全優勝で強さを証明。2勝はともに国内メジャーと見事に飛躍した。それまでのシーズンと比べて最も変化した点について、北田はこう語る。
「パットではないでしょうか。優勝した2試合を見ると、パットで耐えて、パットでチャンスをものにしていた印象があります。最終戦でも思ったのですが『これは外すんじゃない?』と思う微妙な距離のパットを全て入れていました」
原の平均パット数(1ラウンドあたり)は日本女子オープンが27.25で全体3位、最終戦は29.00で全体12位。しかし、年間では30.25で全体52位と顕著な差があった。北田は3パットをしないためには「最初の長いパットで微妙な距離を残さないことが大切」と強調。さらに不安定なパットがショットメーカーに与える影響についてこう説明した。
「原選手はもともとショットがいい選手。ショットで大きなミスをした姿はあまり見たことがありません。どの選手でもパットでもったいないボギーを叩き、気持ちを整理できないまま次のホールに行くとミスショットに繋がります。原選手は短いパットを外してスコアを崩していた印象があるので、本当にそこだけですよね。それがうまくクリアできた=優勝だと思います」
パットがよければ上位争いができる。北田は原の初優勝前から感じていたことだという。実は19年4月のフジサンケイレディス第2日に同組でラウンド。身長173センチのダイナミックなスイングで飛ばし、バーディーを奪う姿に「この子凄いな」と第一印象を抱いた。一方、簡単にボギーを打ってしまい「まだプレーが少し荒いかな」と感じた。
「この子はミスの幅が減ったらシードも獲るし、優勝もできるだろうなという目で見ていました。でも、順調ですよね。そこから順調に優勝してメジャー2勝ですから」
同組で回った約1か月後にツアー初優勝。昨年、大きな飛躍を遂げた。ブレイクの理由はパットの成長だけではない。難しいコース設定、より実力差の出やすい4日間大会、格や賞金額も違うメジャーで2連勝。メジャーに強い理由に「やはりゴルフの時にいい表情します。まだ若いけど勝負師のような表情。気持ちはかなり強いと思います」と説明した。