「弱虫」だったリオ五輪から3年 高校生スイマー酒井夏海の成長「爆弾的な存在に」
女子背泳ぎの次なる盟主として期待がかかるも「現状、厳しいかな」
五輪後に負った怪我の影響もあり、2017年の世界水泳(ブダペスト)は出場ならず。だが、同年の世界ジュニア選手権では50メートル、100メートル、200メートル背泳ぎで自己ベストを更新すると、2018年は日本選手権、パンパシフィック水泳選手権、アジア競技大会に出場。背泳ぎ3種目すべてで高校新記録を更新する大飛躍を果たした。
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ロンドン五輪銅メダリストの寺川綾が引退した後、女子背泳ぎは有力選手の不在が続いたが、着実に成長を遂げる酒井に期待がかかる。今年4月の日本選手権、5月のジャパンオープンでは、いずれも50メートルと100メートルで優勝し、200メートルでは白井璃緒に次ぐ2位。コンスタントに結果を残す18歳は、エースとして日本の女子背泳ぎを牽引する十分な素質を備えている。酒井自身も「自分が引っ張っていきたいという思いはすごくある」と話すが、その一方で「でも現状、厳しいかなと思っているので…」と歯切れが悪い。
その理由の一つは、今回の世界水泳に向けてメドレーリレーでは派遣標準記録を切ったものの、個人としては3種目すべてで一歩及ばなかったことにある。
「世界に照準を合わせてタイムを近付けていければ、胸を張って『背泳ぎを引っ張っていきたいです』と言えるようになるかなと思っています。それにはまず、日本新記録を更新していかなきゃいけない。日本選手権前は100メートルで58秒台が出るような練習をしていたつもりだった(実際は59秒98)。いろいろなコーチにも『練習は速いのにね』って言われるので、練習の成果をうまく試合で発揮できるような力もつけないといけないと思います」
日本選手権の100メートル背泳ぎでは「(自己)ベストが出るかなと思って臨んでいた」が、59秒20の自己ベストから0秒78遅れた。昨冬は筋力をアップさせるためにウエートトレーニングを増やしたが、想像以上の疲労に襲われ、「いつもみたいに冬場の泳ぎ込みができなくて、すごく力に頼っている泳ぎ方になってしまった」。その結果として「泳ぎの感覚が分からなくなってしまった」こともあったという。日本選手権前に泳ぎの感覚は戻ってきたものの、タイムとして結果を出せず。100メートルの表彰式後に、悔し涙が少しこぼれた。