松元克央「自由形の歴史を変えたい」 右肩痛から復活の“水を得たカツオ”が世界へ
リレーでエース格の期待「魚の群れを連れているカツオになりたい」
右肩痛は完治していない。それでも、1分45秒63で自己ベストをマークして2連覇。萩野公介(ブリヂストン)が不振による休養で不在だった中、急成長で存在感を示した。そして、もっと上に行ける自信が芽生えた。
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「(100メートルと合わせ)2種目とも自己ベストが出たので、すごく満足した結果だったのかなと思っています。自己ベストも出て、派遣標準記録、個人のタイムも切れて、日本選手権で出したかったタイムは出せてすごく嬉しかった。
でも、まだまだ世界水泳でメダルを獲れるタイムではないので、またここから夏に向けてしっかり頑張りたい。まだ(タイムを)上げられそうな感覚はしますし、上げたい気持ちはたくさんあるので、もっともっと上げたいと思ってます」
満足していないのは、悔しさがあるから。初出場した2017年世界水泳は、予選敗退だった。日の丸を背負って戦う憧れのトビウオジャパンに入っても、結果を残さないと意味がない。幼い頃から見てきた先輩たちとの違いを痛感した。
「代表に選ばれるだけじゃダメなんだなというのをすごい実感した。代表に選ばれるのであればメダルは絶対に獲りたいと思い始めてから、意識は少し変わりました。
最初、代表入っていない時は『代表選手、やっぱり格好いいな』って思っていたんですけど、代表に入ってみたら『代表に入っている中でメダルを獲っている選手が輝くんだな』って思って。そこから目指すようになりました」
本名は「克央(かつひろ)」だが、周囲や両親にまでも「カツオ」と呼ばれる。「やっぱり嬉しいこと。本当にずっと小学生の頃から『カツオ』と呼ばれていた。ここ(代表)で呼ばれるのも、まさかですね」。メディアを通じ、ファンにも徐々に浸透してきた。今大会のリレーでは、エース格として期待がかかる。
「一人で泳がずに、たくさんの魚の群れを連れているカツオになりたい。みんなに押されるようなカツオ。群れがたくさんいて、みんなが押してくれるみたいな。たくさん仲間がいるみたいな。応援してくれる人がたくさんいるような選手にもなりたいので。
まずは絶対に決勝に残ること。大前提として、いい色のメダルを獲得することを目標に夏まで頑張りたいなと思っています。200メートル自由形の個人種目でしっかりメダルを獲って、リレーではもっと去年より引き継ぎのタイムを良くしたい」
1936年ベルリン五輪800メートルで寺田登が金メダルに輝いて以来、日本人男子は五輪の自由形でメダルに手が届いていない。「ベストを出すたびに、現状にやっぱり満足はできない。さらに上を目指して、自由形の歴史を変えてみたい。そう思うようになったのも本当につい最近です」。決して止まることなく、“水を得た魚”の言葉通りにぐいぐいと勢いに乗っていく。
(明日9日の第19回は小関也朱篤が登場)
◆世界水泳、テレビ朝日系で連日中継 7月21日に開幕する競泳は、決勝をテレビ朝日系地上波、AbemaTVで最終日まで8夜連続放送。予選はBS朝日、AbemaTVで放送する。
(THE ANSWER編集部)