「正直、ここまでやっているとは」 29歳、代表最年長の入江陵介が泳ぎ続ける理由
2016年から拠点を米国に「すごくプラスに働いている」
ちょうど時期を同じくして、2020年の東京五輪が決まったことも気持ちを奮い立たせてくれた。2013年、招致が決定したその瞬間、入江はJOCの一員として発表会場にいたのだ。
【注目】DAZNは年間プランがおトク! プロ野球、F1、国内サッカー、ゴルフ、テニス…見られる競技が盛りだくさんのDAZNはこちら
「すごく嬉しかったですね。東京にオリンピックが来るだなんてその時思ってもいなかったですし、(2013年から)7年後だったので想像もつかなかったんですけど、やっぱりたくさんの人が関わってオリンピックを呼んだその姿を見て、心の中でどこか自分も目指せるのであれば、目指したいなっていう気持ちがすごく湧きましたね。
それがなければ恐らくリオでやめていました。リオも結果が良くなかったですし、やめてもいい区切りな時だったかなと感じました。やっぱり自国で開催するオリンピックに現役として出られるチャンスがあるのに、自ら簡単に手放すのはもったいないという気持ちになりましたし、やめるのはすごく簡単です。続けるのは難しい道だったんですが、やっぱり続ける道を選びたいなと思いましたね」
2016年からは更なる成長を志して、米国に練習拠点を移した。生活環境ががらりと変わり、慣れない料理の腕もみるみる上達。最初は言葉の壁にも戸惑い、日本ではしたことがなかった運転も始めた。得るものは大きかったという。
「水泳だけで人生が終わるわけではないので。競技する人生っていうのはやっぱり生きていく中でやっぱり本当のほんの一部だと思うんですよね。それが終わった後の人生もすごく長いので、そういったところでアメリカに拠点を移して、新たな環境でいろんな人と接することができている。すごく将来に対してもプラスに働いているのではないかと思います」
人間的にも一回り成長した入江。競泳代表チームの中でも、精神的な支柱としての役割も自覚している。
「ある程度目が届くので、一人一人がどういった選手かということを知っていくことも大事ですし、何か悩んでそうだなと思ったら一言かけたりとか。全体を良い雰囲気にするために一人ずつ、一つずつ、ちょっと困ってたら助けたりとか。自分自身14年という(代表)経験もある。たくさん悩んで色んなことがあって、乗り越えてきた経験があるので、そういったものを少しでも伝えられればいいと思っています」
16歳で初めて代表入りし、今29歳で最年長となった。「先輩方が繋いできた競泳の歴史があるので、そういったところをもっともっと先まで続けることが大事だと思う」と言葉に力を込める。