池江璃花子が力いっぱいに泳げる現実 世界7位で自分を責めても、母は「泳ぐ姿に感動したよ」
世界水泳福岡(テレビ朝日系で中継)は29日、競泳の女子50メートルバタフライ決勝が行われ、池江璃花子(横浜ゴム)が25秒78の7位だった。2017年大会以来6年ぶりに個人種目で日本代表入りし、個人では当時以来の決勝進出。朝から感情をコントロールできず涙に暮れた。期待されるほど強い責任感を抱く23歳。自分を責めながらも、味方でいてくれる母の言葉に感極まり、大きな経験を得た大会になった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
世界水泳福岡・競泳
世界水泳福岡(テレビ朝日系で中継)は29日、競泳の女子50メートルバタフライ決勝が行われ、池江璃花子(横浜ゴム)が25秒78の7位だった。2017年大会以来6年ぶりに個人種目で日本代表入りし、個人では当時以来の決勝進出。朝から感情をコントロールできず涙に暮れた。期待されるほど強い責任感を抱く23歳。自分を責めながらも、味方でいてくれる母の言葉に感極まり、大きな経験を得た大会になった。(文=THE ANSWER編集部・浜田 洋平)
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みんなが背中を押している。この大会中、最も大きな歓声がその証明だった。
入場ゲートをくぐると、池江は視線を一身に集めた。両手を挙げて微笑む。「誰よりも応援されてこの舞台に立てた」。責任を胸に秘め、スタート台へ。「もうあとはやるだけ。感謝の気持ちを伝えたい」。一番最初に浮き上がり、世界の猛者たちを追った。結果は7位。プールから上がって一礼すると、拍手が鳴りやまない。帰ってきた世界の舞台をかみしめた。
事前の持ちタイムではメダルは厳しい。「昨日は狙っていないと言っていたけど、1%でも可能性があるならメダルを狙いたかった」。直前で芽生えたアスリートの本能。しかし、「力んだらダメ」と思うほど力が入った。
「周りを見ないと思っていたけど、見てしまった。そこが力みになった。これが国際大会の難しさ。いつまで苦しむんだろうと思う。けど、この舞台で泳げたのは自分にとって凄くよかったし、楽しかった」
感情が激しく揺れる一日だった。午前10時47分の女子50メートル自由形予選。個人4種目め、リレーを含めて10レース目だった。体も心もいっぱいいっぱい。「レースに出るしんどさを感じた。『レースに行くのが嫌だな』って思ってしまう自分がいた」。マイナス感情が本番に響く。
25秒27の全体20番手で敗退。「自分でも感情がよくわからない。悔しい、つらいとかいう感情は一切なかった。考えても考えても答えが出ない感情」。プールから出た直後、すでに涙が流れていた。
本命の50メートルバタフライ決勝まで9時間。「数時間、切り替えられなかった」。会場に向かうバスの中でも、悩みの種が頭をぐるぐると駆け巡る。「昨日までの自分とは違う。自信がない」。会場で準備をしながら思う。「やっぱり結果を出したい」。ただ、レースまでにコントロールができなかった。「ちょっとでも頑張りたい中で弱い自分が出た。凄くもったいない」