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【世界水泳】日本人の美と強さを…AS女王・乾友紀子、井村雅代コーチと打ち破るルール改正の壁

井村コーチが見た妥協しない姿「難易度が下がったら嫌な顔。上げたらニコッて」

 戦略は正しかったのか。模索しながらの戦いだった。



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 新ルール初の国際大会となった今年3月のワールドカップ(W杯)カナダ大会。「今まで見ていたアーティスティックスイミングとは変わってしまったなという印象。最初はちょっと衝撃がありました」。ソロ以外の種目を観客席から見た時も驚きを隠せなかった。ソロのフリールーティンは優勝したものの、テクニカルルーティンは2位。昨年世界水泳銀メダルのマルタ・フィディナ(ウクライナ)に優勝を奪われた。

 それでも収穫はある。「長い時間、脚技を詰め込んでやることが結果に繋がる」ということは確かだった。高難度の脚技を取り入れる方針は間違っていない。「難易度を高めた中でもしっかりアーティスティックの部分を失わないように」と、勝ち切るために演技構成のブラッシュアップを図った。

 井村コーチも同じ意識だ。

「長い間潜れば潜るほど表現する時間がなくなっていく。それはアーティスティックが大好きな私としては許されないことなんですね。だから、ともかく技、回転を限界まで速くして、その中で高い難易度を取る」

 過酷なプログラムになるが、妥協は一切しない。それは厳しいコーチの方針ではなく、本人が自ら望むこと。井村コーチは言う。

「難易度を上げることはあっても、下げることはありません。彼女が一番それを嫌がるから。練習でも少しでも難易度が下がったら凄く嫌な顔をする。逆に難易度を上げたらニコッと笑うんです」

 全身に負荷がかかり、乾は「酸欠との闘い」と表現する。浮力がなくなり、沈んでいく感覚。「回転する時に凄く重くなったり、曲に間に合わなくなってしまう」。1曲の中で体力回復のポイントがなく、始まってしまえば最後まで続く。後半にどれだけ耐え、ミスなく演技できるかが大切だという。

 新プログラムの曲作りを依頼したのは、雅楽師の東儀秀樹氏。昨年、世界女王になった時の「鳳凰伝説」も東儀氏の作曲だった。会場を一気に日本的な雰囲気にもっていく、欠かせない武器。今回は「水のゆくえ」をテーマとし、小さな水滴から川、海になっていく壮大さをイメージさせた。

 迎えた今季2戦目、5月のW杯フランス大会。大幅に難易度を上げ、2位だったフィディナに競り勝った。少しずつ見えてきた世界水泳連覇への道。快挙への意識は「もちろんある」と断言する。

「泳ぐだけではなく、結果にこだわる。勝つことにこだわってやってきているので、しっかり勝負したい」

 幼い頃、素質に惚れ込んだ井村コーチも「やっぱり世界一の難易度で、世界一の演技で、世界一の出来栄えで連覇したい」と続く。二人三脚で乗り越えてきた日々。その全てを演技に込める。

(14日の第24回はASの佐藤陽太郎が登場)

◆世界水泳 7月14日にアーティスティックスイミング(AS)、飛込から開幕。水球、オープンウォーター、ハイダイビングも行われる。同23日に開幕する競泳は、決勝をテレビ朝日系地上波にて最終日まで8夜連続生放送。ASはBS朝日、飛込はCSテレ朝チャンネルで生放送。

(THE ANSWER編集部)

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