【世界水泳】強い日本競泳界を知る男 33歳入江陵介、次世代に託すための現役続行「若手が育ってない」
水泳界の“世界一決定戦”世界水泳福岡(テレビ朝日系で中継)が7月14日に開幕する。2001年以来22年ぶりの日本開催となり、中でも注目を集めるのは競泳だ。個人種目で金メダルなら1年後のパリ五輪出場が内定する今大会。「THE ANSWER」では7月23日の競泳開幕30日前から「テレビ朝日×THE ANSWER」としてタッグを組み、様々な企画を実施する。
「世界水泳カウントダウン連載」競泳開幕まであと29日―男子100m背泳ぎ・入江陵介
水泳界の“世界一決定戦”世界水泳福岡(テレビ朝日系で中継)が7月14日に開幕する。2001年以来22年ぶりの日本開催となり、中でも注目を集めるのは競泳だ。個人種目で金メダルなら1年後のパリ五輪出場が内定する今大会。「THE ANSWER」では7月23日の競泳開幕30日前から「テレビ朝日×THE ANSWER」としてタッグを組み、様々な企画を実施する。
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その一つがカウントダウンでお送りする「ウルトラ連載」。出場選手のインタビューに加え、特別企画を織り交ぜながら大会を盛り上げる。6月24日の第2回は、男子100メートル背泳ぎなどに出場する入江陵介(イトマン東進)が登場。8大会連続出場となる代表最年長の33歳は、日本の主将を任された。個人として表彰台を目指し、日本競泳界の未来を見据えながら現役を続けている。
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2006年の初代表から17年。入江には、33歳になっても辞められないワケがある。
「正直、この年まで続けているとは思っていなかった。まだやり切れていない。周りからすれば『十分だろう』と思われることはあるんですけど、自分の中で『もう一度、表彰台に立ちたい』というのが凄くあって。やっぱりあそこからの景色をしばらく見ていないので、どうしても最後にもう一度あそこに立ってから辞めたい。素直にその気持ちがあります」
10代の頃、背泳ぎの第一人者はペットボトルを額に乗せたまま泳ぎ、美しく、安定したブレのない泳ぎで注目を浴びた。世界水泳は近大2年時の09年ローマから今回で8大会連続出場。11年上海で100メートル銅、200メートル銀に輝いた。22歳だった12年ロンドン五輪は100メートル銅、200メートル銀。以降、個人種目では世界水泳と五輪の表彰台に立っていない。
4大会連続出場となった21年東京五輪は100メートル9位、200メートル7位と振るわなかった。引退も考えた末、昨年8月に集大成として来年パリ五輪を目指すことを表明。今年4月の日本選手権は100メートルで10連覇を達成した。だが、葛藤はある。
「若い選手が育っていない」
だから、泳ぎ続ける。自身が壁になり、若手に越えていってほしいからだ。
「東京五輪の時に若い選手が育っていない部分があったので、もう少し続けて日本代表の助けになれたら嬉しいという想いもありました。200メートルは派遣標準記録を切った選手がたくさん出てきているので、心強いと思っています。現状100メートルはもう少し出てくれないと、リレーで予選落ちの可能性も出てくる。今までメダルを獲った種目なので、出られなくなってしまうのは凄く悲しい」
加齢による衰えは「もちろんある」。回復力の低下や体調維持がしづらいと感じるようになった。筋力トレーニングは欠かさない。「若い時と今の感覚は全然違う。ただ、過去の感覚に縛られすぎると前に進めない。今ある自分の体、心で常にベストを尽くすことを意識しています」。アスリートにだって気持ちの浮き沈みがある。長く続ける中で些細なことに目を向けた。
「何より水を楽しんで、日本代表に入る喜びを噛みしめながらできている。それで苦がなく続けられているかなと思います。年によって代表の人数が違ったり、雰囲気が違ったり、代表にもたくさんの色がある。同じ一年はないんです。今回の代表は年齢が非常に幅広い。毎年いろんな雰囲気の代表を見るのも僕の中では楽しみです」
最近は100メートルに種目を絞った。「東京五輪で引退を少し考えたけど、続けるにあたって少し距離と精神的な負担を減らしていこうと思って」。ところが、スピードを上げようとする意識が力みに繋がり、持ち味の大きな泳ぎが失われた。練習では200メートルも取り入れて修正。今後も競技会にはどちらの種目でも出場していく。