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ナプキンの漏れ、ズレ、気になった男子の目 部活中「トイレに行ってきます」が言いづらかった――元陸上オリンピック選手・室伏由佳さん

室伏さんの競技歴と主な病歴
室伏さんの競技歴と主な病歴

オリンピック選考会の前年に「器質性月経困難症」が判明

――貧血の症状もありましたか?

「実は中京大学入学時の健康診断で、治療が必要なほど重度の貧血だとわかるのですが、おそらく当時から貧血だったと思います。というのも、生理が来るようになり、練習についていけなくなったんですね。それこそ、グラウンドを一周しただけで息切れしてしまい、まともにトレーニングができませんでした。これは、月経による鉄の喪失と、トレーニングによる大量のエネルギー消費に見合った栄養摂取ができていないことが原因であることが多いですが、私もその状態でした。

 でも、周囲からはサボっていると思われ、『ちゃんとやろうよ』と言われてしまう。実際は手を抜かないとついていけなかったので、ずっと『私は競技者として力がない』と思っていましたね」

――室伏さんは、高校で円盤投げに転向。大学から本格的にハンマー投げもスタートし、以降、この2種目で日本のトップ選手として活躍されます。しかし、大学卒業後から、月経による不調が現れたそうですね。

「はい。PMS(月経前症候群)と機能性月経困難症……いわゆる生理痛です。ただ、後にわかるのですが、私の場合は器質性月経困難症といって、原疾患のある病が原因の生理痛でした」

――それが発覚したのは26歳になる頃です。翌年に2004年アテネオリンピックの選考会を控えた大事な時期ですよね。

「そうです。生理の直前から始まった頃に、急に腹痛や排便痛が起きるようになり、3か月目には起きられないほどの強い痛みになりました。ひどい日は、息をするだけでも痛いので、トレーニングどころか日常生活さえ普通に送れません。毎回、歩けなくなるほどの痛みを感じながら、これからどうなるのかな? 私は競技を続けられるのだろうか? と、生理が恐怖に変わりました。そして、ひどい痛みで身動きができなくなり初めて、レディースクリニックに駆け込み受診しました」

――当時、社員選手として実業団チームに所属していましたが、チームやスポーツ関係者から紹介されたクリニックでしたか?

「いえ、自分で見つけた近所のクリニックです。お洒落なたたずまいのクリニックだったので、そこを通るたびに『万が一、婦人科のことで受診するようなことになった場合はここがいいな』と以前から思っていたところでした。クリニックでは特に疾患が見つからなかったのですが、高熱もあったので『必ず原因があるはず』とそこのお医者さんが紹介状を書いてくださり、すぐに総合病院で精密検査を受けました。

 それでも原因がわからず、今度は父の紹介で大学病院へ。腸内検査等してもやはり異常が見つからず、あらゆる病気の可能性をつぶした結果、再び同大学病院の婦人科で内診をしてもらうことに。そこで、子宮内膜に子宮頚部まで伸びるように成長している、良性ポリープが見つかりました」

――ポリープが原因の痛みだった?

「はい。ポリープ自体はそうした激痛の要因ではないのですが、ポリープが子宮頸部に栓をするように大きくなり、月経血の通り道をふさいでしまった。それで、出血不全を起こし、痛みが起きていたのだろうと診断されました。検査の際、たまたまポリープの先が少し取れたため、以降、月経血の通り道ができたためか、歩けないほどの痛みはなくなりました。

 医師からは『またポリープは大きくなって悪さをするだろうから、早めに切除した方がいい』と言われましたが、『今、処置をして、果たして練習はできるのだろうか』とためらい、1年近く悩み決断できず。結局、月経時の不調は避けられず、オリンピック選考会の3か月前にポリープを切除しました」

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