ナプキンの漏れ、ズレ、気になった男子の目 部活中「トイレに行ってきます」が言いづらかった――元陸上オリンピック選手・室伏由佳さん
陸上競技女子ハンマー投げアテネオリンピック日本代表であり、女子円盤投げ・ハンマー投げの元日本記録保持者でもある室伏由佳さん。中学生から陸上を始めて以降、35歳で引退するまでの間に、貧血、そして複数の婦人科系の疾患を次々と発症。オリンピックや世界選手権に出場するなど、選手として活躍していた裏では、重い婦人科系の病に苦しむ日々を送っていました。「女性であれば一度は、自分の生理としっかり向き合ってほしい」という室伏さん。インタビューの前編では、現役時代の経験をお話ししてくれました。
【インタビュー前編】アテネオリンピック出場・室伏由佳さんの現役時代の経験談
陸上競技女子ハンマー投げアテネオリンピック日本代表であり、女子円盤投げ・ハンマー投げの元日本記録保持者でもある室伏由佳さん。中学生から陸上を始めて以降、35歳で引退するまでの間に、貧血、そして複数の婦人科系の疾患を次々と発症。オリンピックや世界選手権に出場するなど、選手として活躍していた裏では、重い婦人科系の病に苦しむ日々を送っていました。「女性であれば一度は、自分の生理としっかり向き合ってほしい」という室伏さん。インタビューの前編では、現役時代の経験をお話ししてくれました。
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――まずは10代の頃の生理について伺います。初潮を迎えたのはいつ頃ですか?
「中学1年の終わりです。初潮を迎える前はナプキンを巾着袋に入れてトイレに行くクラスメートの姿を、『私、まだあれやってない!』とうらやましいような気持ちでみていました。『私にも本当に生理が来るのかな』という不安も感じていたことを覚えています」
――中学時代は短距離の選手でした。生理が来た後、体調の変化や競技への影響を感じましたか?
「私の場合、10代の頃の生理痛は、体が重だるく感じる程度だったので、体よりも心への影響が大きかったです。例えば、当時、部活動のときはブルマーを着用。部活の決まりでTシャツは必ずパンツにインしなければいけなかったので、ナプキンの漏れやズレ、衣服に月経血がにじんでいないかが本当に気になりました。スターティングブロックを使うときは、お尻を高く上げますし、男子の目も気になりましたね」
――体調よりも周囲の視線が気になっていた。
「そうですね。思春期ならではの、精神的なガマンが大きかったです。例えば、漏れが心配でも練習中に『トイレに行ってきます』とは言いにくかった。トイレに行くことは禁止されていないのですが、部活動は集団意識が強いので、みんなと違う行動をすると目立ちますよね。トイレに行きたくても、『走り込みの練習中に外れたら、みんなに何て思われるのかな……』などと考えてしまう。大人なら『トイレ行ってきます!』と躊躇なく言えますが」
――精神的な影響は、競技にも影響していたと思いますか?
「自分としては競技に集中しなければいけないし、割り切っているつもりでした。でも、集中しきれない要因にはなっていました。走るときもナプキンのズレや漏れを気にしていましたから、力を発揮できるフォームで走っていたかどうかも怪しかったと思います。今はブルマーでない学校も多く、ナプキンいらずのショーツや、スポーツ用のナプキンなどがあってうらやましいです(笑)」
――強い生理痛はなかったとのことですが、部活動中に漏れが気になるほど、経血量は多かったのでしょうか?
「生理初日から2、3日目ぐらいまでは、1時間に1回取り替えないと漏れてしまう時もありました。そう思うと過多月経(※)だったのではと思います。ただ、チームメートのなかには『朝起きたら、経血でベッドが真っ赤になっちゃう』という子もいたので、『自分はそこまでではないから普通なのかな?』と思い込んでいました」
※過多月経 経血量が多く、レバー状の地のかたまりが出る、8日以上月経が続くといった症状があり、貧血になる恐れもある