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「私にとって生理がなくなるのは、命がなくなったのと同じ」 陸上・新谷仁美選手が隠さず語る、女性アスリートの生理問題

スポーツをする女性にとって、生理は切っても切り離せない問題。今回は、女性アスリートの生理問題について発信している陸上の新谷仁美選手(積水化学)にインタビュー。かつては過剰に追い込み、身長165センチ、体重40キロで体脂肪率3%となり、無月経になった過去も。第一線で活躍するアスリートとして、生理についての考えを聞きました。(聞き手=長島 恭子)

女性アスリートの生理問題について発信している陸上の新谷仁美選手にインタビューを行った【写真:荒川祐史】
女性アスリートの生理問題について発信している陸上の新谷仁美選手にインタビューを行った【写真:荒川祐史】

かつて身長165センチ体重40キロで体脂肪率3%となり、無月経になった過去も

 スポーツをする女性にとって、生理は切っても切り離せない問題。今回は、女性アスリートの生理問題について発信している陸上の新谷仁美選手(積水化学)にインタビュー。かつては過剰に追い込み、身長165センチ、体重40キロで体脂肪率3%となり、無月経になった過去も。第一線で活躍するアスリートとして、生理についての考えを聞きました。(聞き手=長島 恭子)

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 ◇ ◇ ◇

――新谷さんは3年ほど前から、女性アスリートの生理問題についてSNSで発信しています。その行動に至った理由を教えてください。

「そもそもは『生理に関して発信したい』という想いがあって、SNSを始めました。というのも、高校時代から生理に悩む同期や後輩の姿を見てきたし、昔から陸上の世界では、選手に生理があることを否定する風潮があり、そこに対して、常に疑問を抱いていたからです。私自身も25歳で無月経を経験しましたし、SNSを通して、生理の大切さを伝えたいと考えました」

――新谷さんは自身の体験も隠さず、発信しています。当時、そこまで踏み込んで生理を語れる現役のアスリートはいませんでした。反響も大きかったのでは?

「そうですね。最初の頃、一番驚いたのは、生理のことをつぶやくたびに『勇気を出してくれてありがとう』という言葉を頂いたことです。私自身は生理の体験を発信することに、全く壁を感じていなかった。だから『そんなにハードルが高い話なの!?』と不思議に思いました。女性であれば、生理について考えて当たり前。生理に触れることをタブー視するほうがおかしいのになぁと感じました」

――多くの学生アスリートから、SOSの声が届いたのでは?

「そうですね。ときどき、『指導者から生理があることを責められる』『体重を落とすためにウサギのえさのようなサラダしか食べさせてもらえない』といった内容が届きました。当時は、女性アスリートに生理があることを否定する考えは和らいできたと言われていたんですね。でも、反応・反響を見て、実は表面的にしか改善されていないんだ、と気づきました」

――今、生理を否定すると言いましたが、正常な生理がある選手は「しっかり追い込めていない」「太る」といった強い思い込みが、長年、指導者や選手のなかにありました。特に、陸上中長距離や審美系競技の世界には根強かったです。

「『生理=太る』と紐づけていることがおかしいですよね。確かに生理中、体がむくみ、体重が増える人はいます。でも、それは女性ホルモンの働きによって、一時的に水分をため込むためであって『太った』のではない。ところが『太ってしまった』と思い込み、なかには走れなくなる、生理不順になる子もいます。生理はちょっとしたきっかけで、不順になります。女性アスリートの生理の本当の問題点は、体重ではなく、メンタルです。精神状態が安定していれば、むくみは解消できなくても、走れるし、生理も順調にきますから」

――新谷さん自身は、生理が体重や競技に影響したことはありますか?

「20代は、生理の3日目までむくみやすかったり、腰がだるかったりする程度だったので、まったく影響を感じなかったですね。ただ、30代になり、急に激しい生理痛に悩みました。一度、気を失うぐらいの痛みに襲われたこともあります。救急車を呼ぼうかとも考えましたが、病院へ行くのに何を用意すればいいかわからなったのと、汗をひどくかいたせいで真っ裸でいたので(笑)、救急車は呼ばず、痛みが治まるまで我慢しました。でも、同じような痛みが2度、続いたので、ドクターに相談。それ以来、生理前から痛み止めを飲んでいます。今は、だるさやちょっとした痛みを感じる程度。しんどいはしんどいけれど、走りにはそれほど影響しません」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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