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スポーツをする人は知っておきたい Q&Aで学ぶ「生理×コンディション」の6つの基本知識

月経のある女性の体温は、1か月の間に低温期、高温期が訪れます。両期間の体温差は約0.3度以上。初潮を迎える前、または閉経後は低温期のみになります【デザイン:野口佳大】
月経のある女性の体温は、1か月の間に低温期、高温期が訪れます。両期間の体温差は約0.3度以上。初潮を迎える前、または閉経後は低温期のみになります【デザイン:野口佳大】

生理が重い日もいつも通り運動してOK ただし注意点も

Q.3 生理が重い日も激しい運動をして本当に大丈夫?
A. 問題ありません。ただし、激しい痛みを繰り返す場合、早めに医師に相談を!

 生理は病気ではないので、重い日でもいつも通り運動することに問題はありません。ただし、生理にともなう体調不良により「体を動かすのもツラい」という日もありますよね。私もときどき、学生から相談されますが、可能であれば監督やコーチに相談して、練習量を調整する、あるいは見学することもすすめています。

 また、毎回、練習を休まなければならないほどのひどい生理痛がある場合は、何か病気が隠れている恐れもあります。早めに婦人科を受診しましょう。

 それから、生理の重い日に経血のもれが気になる場合でも、夜用のナプキンを使用すると、重くて不快感を覚える場合があると思います。動きやすくて漏れにくい、薄めで羽根つきのナプキンを使用し、こまめに交換することをおすすめします。

Q.4 女性アスリートの場合、どんなことが原因で生理不順になるケースが多いですか?
A.「運動に必要なエネルギーの不足」「オーバートレーニング」「精神的ストレス」が3大要因です。

「視床下部」という単語を聞いたことはありますか? 視床下部とは、脳にある「体のコントロールタワー」。あらゆるホルモンの分泌をコントロールするほか、呼吸、体温など、様々な体の反応を調節する役目を担っています。生理不順は、視床下部の機能低下からくる体の不調の一つで、実は女性アスリートに多いのです。

 女性アスリートが生理不順になりやすい要因は、「運動に必要なエネルギーを食事から十分に摂れていない」「オーバートレーニング」、そして「精神的ストレス」の3つ。アスリートはマジメで感受性の強い方が多く、自分で自分を追い込みがちなので、これらのリスクが非常に高いのです。

 生理不順が続くと、最終的に無月経になります。選手自身が気をつけるだけでなく、指導者や家族の方にも、選手の様子をよくみてあげて欲しいと思います。

 最後に、初経から2~3年間は、体が安定していないため、生理不順になりがちです。1~2か月、間が空くことはよくあります。先ほど言ったように精神的ストレスも月経不順の要因ですので、若い選手は心配しすぎないことも大切ですよ。

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須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

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