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未だ根強い「生理痛で練習休み=サボり」の風潮 女性アスリートの体は「一人一人異なると理解を」

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。3日には、女性アスリートや指導、保護者を対象としたオンラインイベントを開催した。全3部で現役アスリートや専門家を招き、第1部は「月経とコンディショニング」、第2部は「知っておくべき成長期のカラダと変化」、第3部は「男性指導者と女性アスリートのコミュニケーション」とテーマが設定された。

オンラインで議論を交わす(左上から時計回りに)鈴木明子さん、須永美歌子教授、伊藤華英さん
オンラインで議論を交わす(左上から時計回りに)鈴木明子さん、須永美歌子教授、伊藤華英さん

「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」オンラインイベント第1部レポート

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。3日には、女性アスリートや指導、保護者を対象としたオンラインイベントを開催した。全3部で現役アスリートや専門家を招き、第1部は「月経とコンディショニング」、第2部は「知っておくべき成長期のカラダと変化」、第3部は「男性指導者と女性アスリートのコミュニケーション」とテーマが設定された。

本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】

 今回は第1部をレポートする。ゲストに五輪2大会出場し、一般社団法人「スポーツを止めるな」で月経にまつわる情報発信を行う教育プログラム「1252プロジェクト」のリーダーを務め、月経問題を第一線で発信している元競泳選手・伊藤華英さん、講師に日本体育大学で女性アスリートのためのコンディショニングを研究している須永美歌子さん、MCにフィギュアスケートでソチ五輪に出場した鈴木明子さんを迎え、「女性アスリートとコンディショニング」の課題について議論を交わした。

 ◇ ◇ ◇

 女性アスリートが避けて通れない「月経とコンディショニング」の問題。近年は多くのアスリートが自身の体験を発信し、さまざまなメディアで情報が取り上げられるようになったが、どう対処し、どう向き合えばいいのか、未だ課題を感じている選手・指導者も多い。イベントは月経の基礎知識から解説された。

 須永教授によると、日本人の初経平均年齢は一般人が12.2歳、アスリートが12.9歳。教鞭を執る日体大で1697人の女子学生を対象とした調査では、最も早くて9歳、最も遅くて21歳だったとのデータが紹介された。初経の1年前の11歳頃から身長も急激に伸び始め、1年で平均8センチ成長するという。「身長がぐーっと伸びたら、そろそろ生理が来るかも……というサインと思ってください」と須永教授。こうした体型変化が競技によってはパフォーマンスに影響してくる。

 正常な月経周期は25~38日。その期間で女性ホルモンの分泌が多い時期、少ない時期の波があり、これが体や心に影響を与える。女性アスリートを調査したデータとして、コンディションが最も良いのは「月経終了~数日後」、最も悪いのは「月経前」「月経中」が多かったという。一方で「関係なし」の選手も一定数おり、須永教授は「一概にどの時期が悪いと決めつけられない。選手によって違う。指導者の方は注意してもらいたい」と述べた。

 月経をコントロールする手段として、最近はピルが浸透している。ゲストの伊藤さんは2008年北京五輪で月経周期が大会と重なることを考慮し、月経をずらす目的で中容量ピルを服用した。4月に出場が決まり、7月の大会に合わせて服用したら体質に合わず、副作用で体重が4~5キロ増加。大会が不完全燃焼なものになった。「ピルが良くないのではなく、自分に合うピルを見つけられなかった。大事なのは知識がないまま服用し、副作用にあったこと。知識を持って、試す期間も必要と思いました」と振り返る。

 伊藤さんの経験から、須永教授は「初めて飲んでみようという時は大事な大会で急に試さず、オフシーズンから試してほしい。副作用があっても、低用量ピルなら2、3か月で弱まると言われている。婦人科を受診して、薬の説明を受けて判断してほしい」と次世代の女子アスリートたちにアドバイスした。

 一方で、女性が婦人科を受診するのはハードルが高い。須永教授は「低用量ピルは女性ホルモンの分泌を抑える作用もあり、骨の成長に影響する。成長期の中学生くらいなら、慎重な判断が必要。飲む、飲まないの判断はお医者さんと話して決めてほしい」と強調し、病院選びについても助言。女性の医師だから必ずしも良いわけではなく、母親や友人の口コミでも構わないので「きちんと話を聞いてくれるお医者さん」を探し、気軽に相談に乗ってくれる関係を作ることを求めた。

「私も婦人科は、最初はハードルが高くて、ちょっと怖かった」というMCの鈴木さんも「行ってみたら、自分の状態も分かったし、どう対処するかを先生と話せるだけで不安も和らぐ。ただ漠然と不安を持って怖がるのは良くない。ベストコンディションで臨みたいからこそ、病院の先生に聞いてみた方がいい」と頷いた。

 また、「生理痛で練習を休む=サボっている」と選手自身が認識し、休みづらいと風潮もある。伊藤さんは「本人も含めチームメート、指導者が知識向上させて、(生理痛が)つらい子に『休むな』と言うだけではなくサポートしながら、どうやったらみんなで症状に合わせてカバーできるかを考える。それはもしかしたら目標達成にもつながるかもしれない。『月経=我慢する』じゃなく、対処できるということを理解してもらいたい」と私見を述べた。

「アスリートは根性論で『こんな状態でもやらなきゃ』『ここで頑張ってこそ一流』と思いがち」という鈴木さんも「私も不調のまま練習して、良いパフォーマンスにつながらず、それでまた落ち込んで……という自滅パターンを繰り返した。練習をしないと不安になるのはよくわかる。でも、どこまで追い込んで、ここは休んでというメリハリをつければ良かったと、今になって反省している」と元トップアスリートならではの体験をもとに語った。

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