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重い生理痛でひっそりベンチ外に 記者が質問も…発表は「体調不良」 後悔した痛み止めのタイミング――バレーボール・迫田さおり「女性アスリートと月経」

「次の月、生理が来るのがすごく怖かった」と打ち明けた迫田さん【写真:片岡祥】
「次の月、生理が来るのがすごく怖かった」と打ち明けた迫田さん【写真:片岡祥】

チームからの発表は体調不良「もう絶対に同じことが起こらないように」

「どうして迫田はベンチ入りしていないのか?」。記者からは当然、質問が飛んだが、チームからは体調不良と発表された。

 病院に行くことも考えたが、1日で痛みは治まった。翌日からはいつも通り、痛み止めを飲んで練習に復帰した。

「試合で穴を開けてしまい、またこんな感じになってしまうのかもしれないと、次の月、生理が来るのがすごく怖かったですね。

 いろんな人に迷惑をかけてしまうので、もう絶対に同じことが起こらないようにしないといけない。痛み止めは、痛くなってから飲むのでは効かないと医師から聞き、現役の間は薬を飲むタイミングだけは間違わないよう、徹底していました」

 長い現役生活のなかで、わずか2日間の出来事。しかし、1試合1試合に結果を求められるアスリートにとって、競技人生を左右する最悪のタイミングに重なる恐れもある。

 迫田さんも出場した2012年、ロンドン五輪に出場後、日本人の女性アスリート132名に対してアンケートが実施された(※1)。「女性特有の問題で競技に影響を及ぼしたことは何か?」という質問に対する回答で最も多かったのは、「月経による体調不良」。2番目が「月経痛」だった。

 当時、女性トップアスリートの婦人科の受診率はわずか4%(※2)。迫田さんに限らず、恐らく多くの女性アスリートが、自己流の対策や精神力で痛みを乗り越えながら、競技を続けていたと考えられる。

(後編に続く)

 ※1、2 公益財団法人 日本オリンピック委員会 女性スポーツ専門部会 ロンドンオリンピック出場女性アスリートによる調査報告

■迫田 さおり / Saori Sakoda

 1987年12月18日生まれ。鹿児島県鹿児島市出身。小学3年でバレーボールを始め、鹿児島西高(現・明桜館高)卒業後、2006年にVリーグの東レアローズに入団。 2010年4月から日本代表に。2012年ロンドン五輪では、28年ぶりのメダル獲得に貢献。2016年リオデジャネイロ五輪にも出場し、5位入賞。2017年5月30日に東レアローズを退団し、現役引退。現在はスポーツ文化人として、バレーボール主要大会の解説を始め、テレビ、トークショー、バレーボールクリニックなど、さまざまな活動を行う。

(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)


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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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