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かつては人前で話すことがタブー 生理の風潮を変えた発信から7年、向き合い続ける月経問題の「今」――競泳・伊藤華英「女性アスリートとニューノーマル」

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「“つながり”がつくる、私たちのニューノーマル」をテーマに1日から8日までアスリートがインタビューに登場する。さまざまな体験をしてきたアスリートといま悩みや課題を抱えている読者をつなぎ、未来に向けたメッセージを届ける。1日目は競泳でオリンピック2大会に出場した伊藤華英さんが登場。テーマは「女性アスリートとニューノーマル」。月経とコンディションの課題を誰よりも早く発信し、タブー視されていたスポーツ界の風潮を変えつつある伊藤さん。前編では、月経にまつわる問題を取り組む転機となった出来事を振り返り、高校・大学の講演活動など最前線の現場で感じる「今」の実情を明かした。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

現役時代の伊藤華英さん、引退後に執筆したコラムが生理問題と向き合うきっかけになった【写真:Getty Images】
現役時代の伊藤華英さん、引退後に執筆したコラムが生理問題と向き合うきっかけになった【写真:Getty Images】

「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」1日目 女性アスリートとニューノーマル/伊藤華英インタビュー前編

「THE ANSWER」は3月8日の国際女性デーに合わせ、さまざまな女性アスリートとスポーツの課題にスポットを当てた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」を今年も展開。「“つながり”がつくる、私たちのニューノーマル」をテーマに1日から8日までアスリートがインタビューに登場する。さまざまな体験をしてきたアスリートといま悩みや課題を抱えている読者をつなぎ、未来に向けたメッセージを届ける。1日目は競泳でオリンピック2大会に出場した伊藤華英さんが登場。テーマは「女性アスリートとニューノーマル」。月経とコンディションの課題を誰よりも早く発信し、タブー視されていたスポーツ界の風潮を変えつつある伊藤さん。前編では、月経にまつわる問題を取り組む転機となった出来事を振り返り、高校・大学の講演活動など最前線の現場で感じる「今」の実情を明かした。(取材・文=THE ANSWER編集部・神原 英彰)

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 ◇ ◇ ◇

「THE ANSWER」が展開し、4年目を迎えた「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」。

 2021年に「タブーなしで考える、女性アスリートのニューノーマル」をテーマに第1回を実施したが、女性アスリート特有の課題をめぐるスポーツ界のムーブメントは年を追うごとに大きくなっていく。一方で、コロナ禍が収束し、社会構造も大きく変化した。情報が氾濫し、SNSも発達。コミュニケーションの形が変わりつつある今だから「“つながり”がつくる、私たちのニューノーマル」とアスリートと社会や読者とつなぎ、改めて2024年から見た新しい時代のスタンダードを考えていく。

 女性アスリートをめぐる課題解決の最前線を走ってきたのが、伊藤華英さんだ。

 とりわけ、自身が現役時代に悩んできた経験から、月経によるコンディショニングについて先進的に発信。部活動の学生や指導者らに月経にまつわる情報発信や講演を行う教育プログラム、スポーツを止めるな「1252プロジェクト」を2021年3月に立ち上げ、そのリーダーとして推進してきた。

 国際オリンピック委員会(IOC)の公式サイト「オリンピックチャンネル」でも活動が紹介され、アスリートやスポーツに関する社会貢献活動の優れたロールモデルを表彰する「HEROs AWARD 2023」アスリート部門を受賞するなど、国内外の評価を受けるまでになった。

 かつては人前で話すことがタブーだった「生理」に対する社会の風潮を変えた一人と言っていい。

「世の中の変化はすごく感じますね。月経というものが女性にはあって『つらいんだよ』『気遣ってね』という認知は進んでいる。ニュースなどでも『生理』というワードが出るようになったし、今までにいなかった『課題だよね』と思う人は増えました。課題と思っているから、もっと聞きたいという人が増え、『生理って何? どういうこと?』という0→1くらいの初期の反応が、1→2になってきました。個人的にもインスタグラムのDMで相談が来るし、1252プロジェクトへの講義の依頼は企業や高校・大学、部活動単位でも来ますし。ただ、課題を認識している人から声がかかるので、課題に思ってない人もまだまだ多くいるだろうと思います」

 2024年の「今」の温度感を明かした伊藤さん。世の中の変化をポジティブにとらえながら課題も感じている。

「認知は進んでいると思いますが、社会では根本的に対処して生活にアクションしていく人はまだまだ少ない。トップアスリートのサポートはだいぶ進んでいて、自分で選択したりお医者さんと連携したりしています。ただ、大切なのは10代の方たち。10代のリテラシーを高めるために大人のリテラシーも高めなければいけない中、生理について『面倒くさい』『なければいいのに』という会話がまだまだ多い。女性の一生の健康というものが世の中的に発信されていないことが背景にあると思います。

 月経によって女性は健康が保たれ、閉経するとさらに健康課題は変わってくる。『月経=面倒くさい、いらないもの』と思われがちですが、日本の歴史で『女性の健康』というキーワードが一般的に少なかったと感じます。男性ならではの病気にまつわる予防医学などは進んでいますが、なぜ女性が骨粗しょう症になりやすいかの理由も未だに理解にいたらず、『年を取ったから骨粗しょう症なんだよね』と思われることに象徴されるように、自分の一生の健康課題である認識が進んでいないとも感じます」

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