外国選手名に「=」表記のなぜ? 「タラ・デービス=ウッドホール」が結婚後も“姓”を守りたかった理由【東京世界陸上】

夫の姓にも抱く敬意「両家を代表することにした」
父方の先祖から引き継いだ「デービス」という姓は、自分のアイデンティティと切っても切れないもの。強い誇りと愛着を持っており、手放す選択肢はなかった。米国では夫婦別姓にすることもできる。それでも夫の姓を併記することを選んだのは、夫の家族が紡いできた歴史にも多大な敬意を抱くからだ。
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「『WOODHALL』もとてもとても力強い名前。彼の家族も現在のところにたどり着くために、かなり戦い抜いてきたの。だから両家を代表することにした。デービス家も、ウッドホール家も。私は誰のために戦い、誰のために走るのか。2つの姓を持つことで、はるかに多くの意味を持つようになったの」
夫のハンター・ウッドホール(米国)は、パラリンピックのリオ、東京、パリ大会でメダルを獲得している短距離選手。結婚後に迎えた2024年のパリ五輪・パラリンピックでは、夫婦揃って金メダルを獲得した。会場で抱き合って喜ぶ姿も話題に。ハイフンが繋ぐ2つの家族が、デービス=ウッドホールにとってより遠くに跳ぶための原動力になっている。
国や文化圏によって、名前の形は様々。2つの姓を併記する名前も、配偶者双方の姓を組み合わせたものばかりではなく、子が両親それぞれの姓を受け継ぐパターンなどもある。日本では現状、複合姓は国際結婚でしか認められておらず、夫婦のどちらかが改姓を求められる。そのほとんどが女性なのが現状だ。一方で選択的夫婦別姓制度の議論が高まるなど、姓への意識に変化が起きつつある。
胸元に金メダルを光らせた女王は「生涯、デービス=ウッドホールの名を持ち続けるわ」と力強く言い切った。日本では馴染みの薄い制度だが、名前の間に入った「=」には2つの姓への強い誇りと敬意が込められていた。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)

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