世界最強ママスプリンターが示す職場復帰の価値 出産4か月で世界陸上挑戦は「より強くなれる」
「みんな体も、復帰の時間も違う。でも、重要なのは…」
新米ママさんは、先人たちの歩みに敬意を込めた。
本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】
「励みとなるものだったわ。特にバレリー・アダムズ(ニュージーランドの砲丸投げ選手)は、確か6か月で戻ってきてメダルを獲っていたと思う。彼女たちはみんな、スポーツ界の多くのママにとって素晴らしいインスピレーションよ」
近年、日本でもママ選手の活躍で少しずつ流れができつつあるが、“復帰しやすい”環境とは言い難く、「現役or引退して出産」という二者択一の価値観を完璧には拭えていない。そんな現状を伝え聞いたミラーウイボは「私の場合はとても支援的な家族がいてくれることがとても助けになっています」と感謝。「みんな息子を溺愛していて、手を差し伸べたがるの。それが一番大きい」と笑う。
確かに周りの支えは大きいかもしれない。でも、気力と体力の壁を自らの努力で乗り越えてきたことは間違いない。
「体は人それぞれ大きく違う。時間がかかる人もいる。でも、一番のメッセージは『私たちは戻ってくる』ということ。私は出産を経て、より強くなりました。多くのママたちから聞いてきたことを実感しているわ。私にとってはそれ(先輩選手の存在)も大きかった。いつ復帰できるか、いつ調子がよくなるかわからない。でも、私たちは復帰したいんです。いつも競技に戻ってくることを考えていました。
重要なのは戻ってくるということよ。みんなそれぞれ体は違う。戻ってくるまでのタイムラインは人によって違う。でも、重要なのは『戻って来られる』ということ。そして、戻って来たらいいことが待っているということよ」
新たな家族を携え、心の逞しさも増した女王のカムバック。誰もが真似をできるものではないし、必ずしも真似をする必要もないが、力強い足跡が未来のアスリートの道しるべになる。だから、復帰への挑戦に価値が生まれる。「残りのシーズンも競い合うことを楽しみにしているわ」。そんな意気込みが今後のさらなる飛躍を予感させた。
(THE ANSWER編集部・浜田 洋平 / Yohei Hamada)(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)