女性の選択に残る「不安、罪悪感、怖さ」 ラストランの日、寺田明日香が口にした「私が競技をやっていた意味」
偉大なハードラーが第一線を退いた。滋賀・平和堂HATOスタジアムで行われた第79回国民スポーツ大会(国スポ)の陸上競技。今大会限りで本格的な競技生活に区切りをつける35歳の寺田明日香(北海道・ジャパンクリエイト)は成年女子100メートル障害5位で完全燃焼した。引退、結婚、出産、そして7人制ラグビー挑戦を経て陸上に復帰すると、日本人初の12秒台、21年の東京五輪で日本人21年ぶりの準決勝進出……。唯一無二の道を歩んだハードラーはラストランを終え、母として挑んだ2度目の陸上人生に思いを馳せた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

国民スポーツ大会陸上 35歳寺田明日香が第一線でラストラン
偉大なハードラーが第一線を退いた。滋賀・平和堂HATOスタジアムで行われた第79回国民スポーツ大会(国スポ)の陸上競技。今大会限りで本格的な競技生活に区切りをつける35歳の寺田明日香(北海道・ジャパンクリエイト)は成年女子100メートル障害5位で完全燃焼した。引退、結婚、出産、そして7人制ラグビー挑戦を経て陸上に復帰すると、日本人初の12秒台、21年の東京五輪で日本人21年ぶりの準決勝進出……。唯一無二の道を歩んだハードラーはラストランを終え、母として挑んだ2度目の陸上人生に思いを馳せた。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
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笑顔と涙でいっぱいのフィナーレだった。
左アキレス腱に痛みを抱えながらも、決勝の舞台に立った寺田。100メートル先にあるゴールラインを目指し、ハードルを一台一台越えていった。記録は13秒53(向かい風0.4メートル)で5位。ともに走った選手たちと抱擁を交わし、目には涙が溢れた。
優勝した清山ちさとに続き、マイクを手にして場内インタビュー。万雷の拍手を浴び、深々とお辞儀をすると、驚きの光景が待っていた。
今大会に出場していない現日本記録保持者・福部真子、田中佑美、青木益未、さらに今大会は別種目に出場した中島ひとみが寺田の顔入りTシャツを着て駆け寄ってきた。花束をもらって大号泣。思わぬサプライズ演出に、会場は感動に包まれた。

目を真っ赤に腫らした寺田は「4月に『第一線を退きます』と会見をさせていただいてから、こんなに泣くことはないと思っていたけど、その時くらい泣いている」と泣き笑いで動揺を明かす。満身創痍で挑んだラストレースを終え、「走り方とかはベストの時からは遠のいているけど、走れなくなるまで走り抜くということをまさか自分が体現するとは思っていなくて。それをトップのレベルで最後までできたことは幸せ」と万感の思いに包まれた。
小学4年から競技を始め、インターハイ3連覇、日本選手権3連覇など将来を期待されたが、13年に怪我や摂食障害などに苦しみ現役引退。14年に結婚・出産を経て、16年夏に7人制ラグビーに挑戦した。陸上に復帰した19年に日本記録を樹立し、21年にも2度更新。同年東京五輪で日本人21年ぶりに準決勝進出するなど、ハードル界を引っ張ってきた。
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