高校まで無名&全国経験ゼロ 異色の臨床工学技士スプリンター、「好き」を追求した先に辿り着いた最高峰の舞台――陸上・松林玲佳
東京・国立競技場で4日から3日間、行われた陸上の日本選手権。女子100&200メートルに出場した松林玲佳(MMG)は両種目ともに予選敗退となったが、3年連続で日本最高峰のトラックを駆け抜けた。臨床工学技士としてフルタイムで働きながら競技を続ける27歳。高校までは全国大会出場なしのスプリンターは、どのようにしてここまで辿り着いたのか。キャリアや競技人生を取材した。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)

陸上日本選手権
東京・国立競技場で4日から3日間、行われた陸上の日本選手権。女子100&200メートルに出場した松林玲佳(MMG)は両種目ともに予選敗退となったが、3年連続で日本最高峰のトラックを駆け抜けた。臨床工学技士としてフルタイムで働きながら競技を続ける27歳。高校までは全国大会出場なしのスプリンターは、どのようにしてここまで辿り着いたのか。キャリアや競技人生を取材した。(取材・文=THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂)
本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】
地元・高知から約800キロ――。異色のスプリンターが聖地に降り立った。
風が止んだ国立競技場。全国で実績を残してきた選手たちと肩を並べた松林は、全体1番目のリアクションタイムで前に出た。50メートル付近からは、周りと競る展開に。ただ後半で粘り切れず、12秒01(無風)の7着に終わった。「思ったようなレースができなくて、やっぱり悔しい」。大舞台で実力が発揮できず、悔しさを滲ませた。
唯一無二のキャリアを築いてきた。
陸上競技を始めたのは小学生の時。中学、高校は四国大会出場に留まり、全国は届かず。「そもそも高校の時はそんなに足が速くなかったので……。あまり、陸上のことは考えていなかった」と、進路を考える際の優先度は低め。透析治療を行っていた祖母の存在がきっかけで、岡豊高(高知)1年時に医療機器の操作・管理を行う臨床工学技士に興味を持ち、卒業後に専門学校へ進学した。ただ、高校まで無名だったスプリンターの“陸上物語”は続いていく。
「高知県のクラブチームで一緒に陸上やらない?」
専門学校進学後、友人に誘われて高知の社会人チーム「MMG」で競技続行。現在は、臨床工学技士として高知高須病院で働きながら走り続けている。
午前7時半から午後4時半の勤務が基本で、終業後に車を30分走らせて練習場所に移動。3時間程度の練習をこなす。午後2時半から11時半などの夜勤の際には仕事の前に練習。過酷な日常に感じるが、当の本人は涼しい顔で話す。
「みんなからは『ありえん』って言われます(笑)。『しんどくない?』って聞かれるけど、好きでやっていることなので。逆にデュアルキャリアでやっている人の方が、精神的に大変そうだなと思っていて、むしろ自分は苦労していないんじゃないかな~って」
社会人は学生時代とは違う。競技を続けることが難しくなったり、これまで以上に結果が求められたり……。かつては楽しかったはずの陸上競技が、苦痛にすら変わってしまうこともある。だからこそ、自分の思うままに競技と向き合う姿は新鮮に映った。
![[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト](https://the-ans.jp/wp-content/themes/the-answer-pc-v2/common/img/logo_c1.png)










