解消された「チートデー」の不安 常に減量と向き合う柔道・角田夏実、体に送る「大丈夫」のサイン

ストレスのない生活を心掛ける理由「健康生活がメインになっちゃうと意味ない」
――競技をする中で、ストレスのない生活を重要視していますね。
本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】
「なんだかんだストレスが一番影響するなって思っていて。減量もパフォーマンスも、できるだけストレスのない生活をした方が全部うまく回るなと感じていたので。試合に向けてちゃんとした食事にしようとか、早く寝て、早く終わってきっちり頑張ろうとすると、すごい肌荒れしたりとか、逆に太っていったりして。
『体に悪くないものしか食べていないのに、なんで?』と思ってしまったり……だんだん睡眠の質が落ちたこともあったので、ちゃんとストレスを溜めないように。どこかで美味しいものを食べたり、楽しんだりしてリフレッシュしながらやっていかないと、練習にも身が入らない。目的はやっぱり柔道でしっかりパフォーマンスを出すことなので、健康生活がメインになっちゃうと意味ないなって感じました。そこのバランスをしっかり取っていきたい」
――スイッチの切り替えをうまくしているように見えます。
「この年まで続けてこられたのは、そういう部分があったのかなと。『この日は遊ぶ』『この日は食べる』と決めて、そこまで我慢するとか。今まではどちらも中途半端な感じで、オンとオフのしっかりした切り替えができてなかったけれど、全てにおいて大事だと思いました。(ストレス発散は)友達とご飯行ったりとか、温泉入ったりとか、運動するのも結構発散になったりするので、柔道以外の運動とか、カラオケとか」
――減量中・月経中にお勧めのヘルシースイーツとして、ギリシャヨーグルトを使ったフルーツサンドなどを勧められました。今回のイベントで得た一番の学びは?
「『これは駄目』じゃなくて、ちょっと工夫することで楽しめること。自分も外食する時、ラーメンでこんにゃく麺に変えられるところは変えたりとかしています。でも、まだ全然幅が狭いなって。(フルーツサンドは)確かにギリシャヨーグルトは美味しいですし、大好きなので。食パンは炭水化物が少ないという部分もあって、じゃあ朝ご飯にできるのかなとか。工夫一つで楽しみになるなっていうのを感じました」

――自分で情報を取りにいくタイプですか。
「これは結構昔からコーチに言われるんですけど、自分で気になったこと、知識を知ろうとするみたいです。『何でそんなことまで知っているの?』って言われて。『気になって調べ出したらいろいろ出てきました』みたいなやりとりを(笑)。よく分からない豆知識まで知っている感じです。ネットで検索だったりとか、本見たりとか。昔はそうやっていろいろ聞いたり、本とか見たりしたんですけど、もう今は携帯でパッて気になったらすぐ調べられちゃうので。その全てが正しい情報かわからないですけど」
――競技生活で悩みを抱える学生にアドバイスを送るとすれば。
「本当にそれこそ切り替えだと思う。友達と遊ぶときは遊んで、学校生活を楽しむときは楽しんで。練習するときは練習。オンとオフをしっかりして、どっちも楽しんで欲しいなって思います。競技だけじゃなくて、生活自体も。その方が長く続けていけたり、やりがいも感じられるのかなって私自身は思うので。切り替えをうまくしていってほしいなと思います。
私が自分に今何が必要かを考えるようになったのは大学生くらい。社会人になって、人からやらされるわけじゃなくて、自分自身でも仕事として結果を出さないといけない。そうなった時に、必要なことを自分に取り入れていった大学時代の経験が生きました」
■角田 夏実 / Natsumi Tsunoda
1992年8月6日生まれ。千葉県出身。小学2年から父親の影響で柔道を始めると、八千代高を経て東京学芸大に進学。大学で寝技の技術に磨きをかけると、2013年の学生体重別選手権で自身初の全国優勝を果たす。了徳寺大学(現・SBC湘南美容クリニック)に進み16年のグランドスラム・東京大会で優勝。19年に52キロ級から48キロ級に階級を変更。21年世界選手権から日本の女子選手として史上3人目となる3連覇を達成。2024年パリ五輪で金メダルを獲得した。
(THE ANSWER編集部・宮内 宏哉 / Hiroya Miyauchi)
