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練習に「行きたくない」 なでしこ黄金世代の衝撃…仲田歩夢が“弱い心”を捨てた忘れられない1年

誰かにとっての『憧れの選手』が増えることは女子サッカーの未来に繋がるという【写真:回里純子】
誰かにとっての『憧れの選手』が増えることは女子サッカーの未来に繋がるという【写真:回里純子】

変わりゆく女子サッカーの環境「誰かにとっての憧れの選手に」

 リーグ戦の出場機会をほとんど得られないまま、2シーズンが過ぎていく。仲田がそんな苦しい状況を打破したのは、3シーズン目だった。

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「自分よりも強いと認めざるを得ない選手がいるなか、今の状況からどう抜け出そうかと考えられるようになりました。試合に出る、出ないではなく、まずは自分のレベルを少しでも上げるために時間を使おう。そうすれば、必ずいろんなものが、結果は後からついてくるはず、と。サッカーが楽しいか、楽しくないかは自分次第だよねと、吹っ切れました」

 自分に集中することで、気持ちに余裕が生まれ、前向きに取り組めるようになった。すると、プレー中、何も言わなかった選手たちからも、声かけをされるようになった。

「やっぱり何も言われない、興味を持たれないのが一番怖い。何かを要求してもらえる、伝えてもらえていると感じるようになり、自信になりました。

 自信を持って積極的に自分のプレーを出していけば、相手にも伝わることが必ずある。上手い、下手ではなく、やろうとしていることが理解してもらえた、認めてもらえたということが、突破口になりました」

 WEリーグは今シーズン、4年目を迎えた。女子サッカーの変遷を見てきた仲田は「WEリーグは試合内容、観客数、スタジアムの雰囲気づくりなど、まだまだ頑張らなければいけない面がたくさんある」と冷静に語る。

「現在、世界の女子サッカー界ではアメリカのプロリーグ、NWSL(ナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ)が最高峰。観客数が多く、リーグの規模も大きいNWSLに対しては、羨ましい気持ちがあります。

 アメリカでは女子サッカーはメジャースポーツであり、女の子たちの間でもバレーボールやバスケットボールよりサッカーが人気だと聞きます。でも、日本ではまだまだ、サッカーというスポーツは男子の競技というイメージが強いですし、女子のスポーツのなかでサッカーが一番人気だなんて、考えられないですから」

 一方、女子サッカーを取り巻く環境が確実に変化している実感もある。子どもの頃、仲田の憧れの選手はヒデ(中田英寿)だった。今は女子サッカー界にも、子どもたちのロールモデルとなる選手が増えていると感じる

「これまで、『アユちゃんのプレーを見て、同じようになりたいと思ったよ』『サッカー始めたよ』と言ってくれる子どもたちと出会ってきました。その姿を見ると、やはりWEリーグの選手たちが誰かにとっての『憧れの選手』になること。そして、そんな選手が増えるほど、女子サッカーの輪は自然と広がり、未来に繋がるのだと思います」

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長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

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