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「ナプキンかタンポンか」オリンピック選手の月経対策 最近は「生理○日目」も記入→チームと共有・管理――女性アスリートと生理

スポーツ界からもたらした変化を伊藤さんは喜ぶ【写真:松橋晶子】
スポーツ界からもたらした変化を伊藤さんは喜ぶ【写真:松橋晶子】

スポーツ界発信で社会に変化をもたらした月経の意識 伊藤さん「そうだったらうれしい」

――第1回で「私たちが10代の頃は耐えて、我慢するのが当たり前。今みたいに月経を口に出せない時代だった」と荒木さんが言っていましたが、ここまで変わりました。20年という歳月が長かったか、短かったかの評価は分かれるにせよ、大きな変化ですね。

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伊藤「いいと思います。ただ、言いやすいことではないのは変わらないので、メンタル的なケアは必要。競技ごとによる対策・体制もそうです。バレーボールのような団体競技ならスタッフに女性がいて、監督の間に入って、コミュニケーションを取りやすい環境かもしれない。でも、個人競技になると個々の対策になってしまうので」

荒木「ひと昔前はこういうトピックをメディアに取り上げられもしなかったですよね。それ自体が大きく変わったところ。選手も『生理痛がつらい』と言いやすくなっている。こんな意識が社会全体に広まれば、生理休暇が取りやすくなるなど、変化が生まれ、さらに理解が進みそうですね」

――最近は月経の話題を口にするのも珍しくないですが、その風潮を作ったのがスポーツ界ではないかと感じます。特に伊藤さんは2016年頃から積極的に発信。強くて、勇ましいアスリートが世の女性と同じ課題を持って戦っているというのは大きなインパクトで、社会的な関心に広がるきっかけになったのではないでしょうか。

伊藤「そうだったらうれしいし、スポーツ界はそこを目指したいですよね。『スポーツは社会の縮図』と言われ、社会の課題を置き換えやすい。それにアスリートは有名な方が発信するのは目につくし、ソーシャルインパクトはあるかもしれない。今後もそうした流れができていったら、一人の元アスリートとしてはうれしいですね」

――時代の変化とともに、女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービス「フェムテック(フィメール・テクノロジーの略語)」が生まれ、フェムテック産業は2025年までに5兆円規模になるとも言われています。

荒木「ここ数年じゃないですか、急に」

伊藤「すごい勢いですね。フェムテックのイベントに行ってみると、驚くほどいろんな製品が展開されています。アスリートもナプキンやタンポンなどの生理用品、デリケートゾーンのクリームなど、一部でかかわってくる領域ですし、多くの人が着目して産業に入ってきていますね」

荒木「私は海外に行って初めて、日本の生理用品はめちゃくちゃ品質が高いなって気づきました。向こうで初めてタンポンを購入したとき、段ボール紙みたいなアプリケーターに包まれているのを見て、『え、ちょっとナニコレ!?』と驚きました(笑)。あと、生理用品で言えば、最近はタンポンとナプキンどっちがいいかを聞かれることもありますが、個人によりますよね。

 私は高校を卒業するまではナプキン派でした。母がタンポンを使わなかったので、タンポンについての情報が入ってこなかった。なので、私のなかではずっと、生理用品=ナプキンでした。でも、実業団に入ってから先輩たちがタンポンを使っているのを見て、試してみようと思い、使うようになりました。実際、使ってみたらすごく快適。以降、プレー中はタンポン派です」

伊藤「長期の遠征にナプキンを持っていくと、量が多くてかさばると悩む選手もいますね。タンポンや月経カップの方がコンパクトなので。あとはユニホームが白の場合、ナプキンだけだと心配になりやすいとも聞きます。(経血が)漏れたらタンポンを使ったり。競泳は水中なのでナプキンは使いようがなく、月経の場合はタンポンを使うしかない。でも、タンポンすらも重いと感じました。

 日本はナプキンが多く、海外はナプキン、タンポン、月経カップなど、いろんな選択肢がある印象です。海外も月経教育自体は日本と変わらないですが、避妊の方法など、性教育は進んでいるかもしれない。生理は意外とどの国もセンシティブ。海外の選手もチームメートで誰が生理か知らないというのが普通で、コーチと話さない選手も多い。生理は個人的な話と受け止められていますね」

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