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練習過多、月経不順、疲労骨折… 女子陸上界の課題、39歳まで走った福士加代子の考え

「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」の一環として「女性アスリートのカラダの学校」と題したオンラインイベントを開催、元陸上日本代表の福士加代子さん(中央)をゲストに迎え、講師に日体大・須永美歌子教授、MCを元競泳日本代表の伊藤華英さんが務めた【写真:編集部】
「THE ANSWER的 国際女性ウィーク」の一環として「女性アスリートのカラダの学校」と題したオンラインイベントを開催、元陸上日本代表の福士加代子さん(中央)をゲストに迎え、講師に日体大・須永美歌子教授、MCを元競泳日本代表の伊藤華英さんが務めた【写真:編集部】

「休めない」選手に伝えたい、「頑張らない」ことの大切さ

――たしかに頑張りすぎてしまうのは、女子選手の健康を考える上で難しい課題です。

本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】

「性格じゃないですかね。頑張ってやる女の子が多いので。(練習を)やめろと言われても、やってしまう。そこは性格によるのですが、でも自分で気付くことも大切じゃないですか? 一度、やりすぎてしまって、ちょっと怪我をして、やっと気付くのでもいい。でも、その時にまたさらに頑張らなきゃと思うのではなく、もっと自分の身体と向き合おうというきっかけにしたらいいかなと思いました」

――福士さんも怪我が考えるきっかけになったとイベントで言っていました。

「1年で3回、怪我したこともあったので。その時にオーバーしていたかなとか、精神的にストレスがあったなとか。今、自分の身体で何が起きているんだろうと、ゆっくり考えることが必然的に増えた。何が原因か分からない限り、また次も起きると思ったし、そうなったら嫌だと思ったことがあったので。でも、私の後輩とか今の子らは怪我したら、また違う(怪我していても)できるトレーニングをさらに頑張ってしまう。本当に頑張り屋なので。だから、頑張らないことをすすめたいですけどね、私は」

――競技力を上げるために“頑張らない”という選択肢もあるのですね。

「そうです。『自分たち、まだまだ来年もあるじゃん』って、みんな思えたらいいのにと思いますよ。でも、やっぱり一日一日を大事にトレーニングしたいと思っているんですね。『将来は子供も産むでしょ?』みたいなことまで言えればいいかもしれないけど、難しい。一緒にやっていた同級生の選手は(避妊)パッチじゃなくて、女性ホルモンの注射を打って(月経を)起こさせたけど、体調が悪くなっちゃって練習が詰めず、それが原因で選手を辞めてしまった。でも、今は子供が4人くらいいて、その時に(月経を)起こしておいて良かったと思えるって。たぶん、あのままだったら子供を産めない身体になっていたかと、後々気付いたと言っていたので」

――それは今、競技を頑張っている若い選手も同じリスクがあるかもしれません。

「特に骨密度は、10代から20代の若い時が一番大事なので。何か不安があれば、気軽に婦人科に行ける風潮になればいいなと思いますね」

――女子陸上界は新谷仁美選手など、自分の健康問題やキャリアについて発信される方が多くなっています。時代の変化でもありますが、陸上界のトップの一人としてどう感じていましたか?

「みんな、自分の身体や自分自身と向き合うことが多くなってきているから、発信しているんじゃないかと思います。若い子らがどんどん発信しているので、それをまたさらにその子に興味がある子が見ていくので。もうすごいじゃん、陸上界! どんどん発展していくと思いますよ」

――健康問題に限らず、女子陸上界の今後の課題について、福士さんが感じていることはありますか?

「今は指導者も知識がどんどんついて、あれやれ、これやれって。教えてくれる部分があります。それはいいんですけど、選手がそれをまず自分がやってみて、試してみて、合っているか違っているかを感じてほしい。例えば、生理周期も人それぞれ違う。もし、合っていなかったら『ちょっと、私は違います』と言えると、本人のためだけじゃなく、指導者のためにもなる。そこで指導者も知識がつくので。みんなが『あの人が言っているから正しい』って、何も言えなくなってしまうのは違う。与えられるだけで、自分から言わない風潮があるので。もうちょっと、そっち側(指導者側)ともう一度、(コミュニケーションを)やり合えばいいのにと思います」

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