39歳まで走り、月経に困らなかった陸上・福士加代子 自然と実践していた「重要な基本」
福士さんが自然と行っていたコンディショニングの最も大切な基本
さらに、月経が止まってしまう要因の一つに、オーバートレーニング症候群がある。須永教授によると、過剰なトレーニングによって運動能力や競技成績が低下し、短期間では回復しなくなる状態のことで、身体的症状や精神的症状の両面から自身の状態を診断することができるという。
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ここで須永教授から福士さんに質問。
「思い切って休むことが重要だと話されていました。食事やトレーニングをメニューのなかに組む選手が多いですが、休みを組み込む選手は珍しいと思います。休みのときに重要視していたことは何ですか?」
福士さんは「そのときの自分の気分ですね」とし、こう答えた。
「動きたい、どこかに行きたい、発散したい時もあれば、意外と体は休みたい時もある。とりあえず、ここにはいたくないから外に出て、環境だけを変えたい。なので、とりあえず今、自分がどんなストレスを抱えているかを見に行っていた。自分は体験型で、やってみたいと分からないタイプ。
一度、外に出て、違うと思ったら帰ってきたり、出た先でちょっと寝ちゃったり。外に出てみたけど、誰にも会いたくないと分かったら海を見て、ただボーっとして。そうしたら意外とリフレッシュして帰ってきたり。食べたくなったら制限をかけずにたくさん食べていたりしていましたね」
これを聞いて須永教授は「自分のカラダときちんと向き合っているからできていることだと思いますし、コンディショニングの基本で一番重要なところです。やはり福士さんは極めていると思います」と舌を巻いた。
福士さんの体験談をもとに「月経とコンディショニング」について行われた1時間のトークセッション。改めて、女性にとって当たり前に来る月経が、競技者のコンディショニングと重要な関係性があることが分かった。
イベントでは事前に募集した視聴者の方からの質問に答え、最後に須永教授と福士さんからメッセージ。
須永教授は、研究者の立場として「自分の月経が正常なのかどうか、痛みはどうなのか。健康か病気かをまずはチェックしてほしいと思います。また、月経中、そして月経の前と後で自分のコンディションがどうなのか。そのうえで自分ではどうにもならない場合は婦人科を受診することをおすすめします。まずは自分が月経で困っているかどうかを改めて確認してほしい」と競技者や指導者へメッセージを送った。
一方、福士さんは月経など女性アスリートのコンディショニングにまつわるイベントに初めて参加したという。
競技者の立場から「高校時代までは私自身はほぼ無知な状態だったけど、ワコールに入ってからとても身近になって、婦人科の方に気軽に聞ける環境がありました。それでホッとしました。なので、相談できる人が近くにいると精神的にラクになるので、聞きづらい人には誰かが代わりに聞いて教えてあげるのもいいかなと思いました」と周りからのサポートの重要性を指摘し、アドバイスを求めた。
(THE ANSWER編集部)