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フィギュアの表現力に恋愛は必要か 高橋大輔の恩師が語る、スケーターの才能の伸ばし方

高橋大輔の親は一言も要求してきたことがない

――受験もネックですね。

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「中学、高校、大学と受験が山になってしまいますね。トップスケーターには教育もパッケージでやれないか、とも考えます。受験は将来を考えると大事なので、人生の選択でしょうけど、やりたいのに続けられないのは悲しいですから」

――現代では問題を起こす親御さんも少なくないですが、長光先生はその手の話を聞きません。

「よく続いているね、とは言われます(笑)。でも、皆さん、嫌いじゃないんです。話をすれば、大抵は分かってもらえるというか。一つ大きいのは(高橋)大輔の存在ですね。彼の親御さんが、一言も『こうしてくれ』って要求してきたことがないんです。だから一線を越えそうと思った時だけ、『大輔の良さは親御さんで、彼のように周りの人に愛される選手でないと上達しないですよ』と話しています。もし、彼のようになりたいんだったらって」

(第5回へ続く)

(小宮 良之 / Yoshiyuki Komiya)


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長光歌子

関大アイススケート部コーチ 
1951年生まれ、兵庫県出身。66年の全日本ジュニア選手権で優勝するなど選手として実績を残すと、引退後は指導者として多くのスケーターを育てる。高橋大輔を中学時代から指導し、2010年バンクーバー五輪で銅メダル、同年の世界選手権で優勝に導いた。フィギュアスケートをこよなく愛し、現在は関大アイススケート部コーチを務める。

小宮 良之

1972年生まれ。大学卒業後にスペインのバルセロナに渡り、スポーツライターに。トリノ五輪、ドイツW杯を現地取材後、2006年から日本に拠点を移す。アスリートと心を通わすインタビューに定評があり、『導かれし者』(角川文庫)、『アンチ・ドロップアウト』(集英社)など多くの著書がある。2018年に『ラストシュート 絆を忘れない』(角川文庫)で小説家としてもデビュー。少年少女の熱い生き方を描き、重松清氏の賞賛を受けた。2020年12月には『氷上のフェニックス』(角川文庫)を上梓。

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