「子供は絶対に愛されるべき存在」 母になった大山加奈が2つの命と社会に持つ願い
双子を授かったことの使命「周りを頼ることは悪いことじゃない」
影響力のある元アスリートとして使命も持っている。特に、双子の母になったこと。「神様からの使命ではないですが、絶対に意味があることだと思っています」と言う。
「双子がいると何かとハードルが高いですが、『こんなに輝けるんだよ』とお母さんたちに伝えたい。でも、それは一人では難しい。私も多くのサポートを受けているので、『周りを頼ることは悪いことじゃないよ』とも伝えたい。こんなに頼ってしまっていいのか、これが子供にとって正解なのか、つらい思いをしてまで働くべきなのか。そんなことを私も感じているので、お母さんたちに寄り添いながら考えていきたいと思います」
女性の社会進出が叫ばれる時代。一人の女性として社会に感じることは何か。
「育児は女性がするもの。家事は女性がやるのが当たり前。そういう風潮はまだ強く残っていると感じます。でも、それってなんでなんだろうと。その部分はもっと変わっていってほしい。お父さんたちがやると『偉いね』『あのパパ、凄いね』と褒められる。もちろん、それは素晴らしいことですが、ママのことももって褒めてあげてほしい。本当にすごいことをしているから。そういう世の中になると女性も働きやすくなるはずです」
引退後はスポーツ界に依然として残るスパルタ指導や勝利至上主義などの問題に積極的に取り組み、スポーツ教室や講演などを行ってきた大山さん。自身も子を持つ立場になり、価値観も少し変わった。
「誰かの役に立つこと、必要とされることにすごく喜びを感じ、私の活動のベースになっています。スポーツをやっている子供たち、バレーボールを選んだくれた子供たちを幸せにしたい気持ちが強かったですが、今はすべての子供を幸せにしたい気持ちが膨らんでいます。子供は愛されるべき存在。絶対に幸せにならなくてはといけないと思うので、バレーボールという狭い世界だけじゃなく、もっと広い目で子供を幸せにしたいです」
そのためにも最も大切なのは、2つの大切な命に愛情を注ぐこと。我が子への感情を聞くと、こんな言葉が返ってきた。
「ただ本当に、無事に大人になってほしい。大げさではなく、寝る前に毎日、神様にお願いしています。妊娠・出産もそうですが、それくらい子供が育ち、無事に大きくなっていくのは奇跡。ただただ健康で、無事に大人になってほしい。それを自分も健康で見届けたい。それが何よりの願いです」
母になった大山さんの偽らざる想いだ。
■大山加奈 / THE ANSWERスペシャリスト
1984年生まれ、東京都出身。小2からバレーボールを始める。成徳学園(現下北沢成徳)中・高を含め、小・中・高すべてで日本一を達成。高3は主将としてインターハイ、国体、春高バレーの3冠を達成した。01年に日本代表初選出され、02年に代表デビュー。卒業後は東レ・アローズに入団し、03年ワールドカップ(W杯)で「パワフルカナ」の愛称がつき、栗原恵との「メグカナ」で人気を集めた。04年アテネ五輪出場後は持病の腰痛で休養と復帰を繰り返し、10年に引退。15年に一般男性と結婚し、今年2月に双子を出産した。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)