中野友加里、減量と闘う現役女子選手に送る助言「私は大会後、好きなだけ食べていた」
最近の日本人選手に感じる変化「良い体つきで大会に臨んでいる」
――今の若い選手たちも気をつけて競技をしなければいけません。
「最近の日本人選手は細すぎると感じる選手は昔ほど多くなく、皆さん選手として良い体つきで大会に臨んでいる、自分自身をよくコントロールされていると、感心しています。それは食べる物から栄養を摂取し、体を作ることもそうですが、陸上トレーニングの方法が私の時代からは変わってきているので、筋肉の付け方もよく学んでいると思います。
その結果、しなやかな良い筋肉をつけながら、高度な技術を生み出すところに繋がっていると、私は考えています。紀平梨花選手にはそれを最も感じますね。自分にとってベストの体重と筋肉量に近づけながらトレーニングしていく、あるいは自分なりに学んでコントロール方法を編み出していくという点は、最近の選手は長けているなと思っています」
――中野さんが引退して10年あまりですが、その間で変化があったのでしょうか。
「そう思います。私の頃は栄養面などをサポートしてくれる方が身近にいなかったので、我流でやっていました。トレーナーの先生も海外についてくることもあまりありません。そういうことが今は当たり前の時代になり、選手にとって良いサポートを受けて大会に臨めるようになりました」
――フィギュアスケートを巡っては、メディアは4回転などの高難度のジャンプに注目しがちですが、それによって選手がプレッシャーを感じることがあると思います。中野さんも引退後はメディアの立場を経験しましたが、どう考えますか?
「私は、そういう部分に注目してくれるんだと思って、プラスに捉えることができたらと思っています。やっぱり誰もが見たいのは難しいジャンプ。それが3回転半か、4回転か、あるいは4回転半という時代になってきますが、新しいものを見たいがゆえにチャレンジを期待し、報道されると思います。私はちょうどマイナースポーツからメジャースポーツに駆け上がっていく時代でした。
なので、それほどメディアも過剰ではなく、私はトリプルアクセルよりスピンの方が注目されたので、その点は良かったと思いますが、3回転半に挑み続けた浅田真央選手や4回転ジャンプを跳んでいた安藤美姫選手は大変だったと思います。ただ、一方で選手たちはジャンプ以外の技術も磨いています。その部分が、観客、審判、そして応援してくださるファンの方にも届いてくれるとうれしいなと私は思います」
■中野友加里/THE ANSWERスペシャリスト
1985年生まれ。愛知県出身。3歳からスケートを始める。現役時代は女子選手として史上3人目の3回転アクセル成功。スピンを得意として国際的に高い評価を受け「世界一のドーナツスピン」とも言われた。05年NHK杯優勝、GPファイナル3位、08年世界選手権4位。全日本選手権は表彰台を3度経験。10年に引退後、フジテレビに入社。スポーツ番組のディレクターとして数々の競技を取材し、19年3月に退社。現在は講演活動を務めるほか、審判員としても活動。15年に結婚し、2児の母。自身のYouTubeチャンネル「フィギュアスケーター中野友加里チャンネル」を開設し、人気を集めている。
(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)