中野友加里、減量と闘う現役女子選手に送る助言「私は大会後、好きなだけ食べていた」
中野さんが健康を守って競技をできた秘訣は「大会後は食べたいだけ食べた」
――一方で、体重コントロールを意識するあまり、食べることが怖くなってしまうということもあります。
「私は幸いにも健康は守りながら競技生活を送れたと思いますが、なかには摂食障害を抱えていた選手を何人も見てきました。バレエや新体操も同じように、それが隣り合わせのスポーツ。私自身は長くスケートに携わり、後遺症というほどではないですが、太ることの怖さと体重管理の意識はあります。みんな、職業病のように残っているかもしれません」
――アスリートは“どう自分を律するか”と同じくらい“どう自分を許してあげられるか”も、とても大切だと思います。フィギュアスケートの場合は特に体重管理。中野さんは健康を守りながら競技生活を送れた理由はどう考えていますか?
「試合が終わったら、ご褒美として自分の好きな物を食べたいだけ食べたことは一つ挙げられるかもしれません。食べた後はもちろん、体重が増え、体型も変わりましたが、疲れているので甘い物が欲しくなるし、大会後だけは体重のことは忘れ、自分を勝手に許していました。そういう日を作るのがすごく大事だと思います。
衣装も少し太っただけで着られなくなるくらいぴったりしているので、ファスナーが上がらなくてキツいと感じた時は焦りました(笑)。でも、それがシーズン中に当たらないようにオフシーズンに特に気をつけていました。あと、私の場合は体重計に毎日乗ること。それがバロメーターになり、今も体重計は毎日乗っています」
――中野さんの場合は上手にメンタルの切り替えできていたということでしょうか。
「上手だったかはわからないですが、それでも現役を辞める最後の瞬間まで体重制限にはとらわれて苦労はしましたし、すごく大変でした。もちろん、アスリートとして精神のバランスを保つ緊張感も苦労はありましたが、選手を辞めた時にまず『もう、これでダイエットしなくていいんだ』と思って、一気に気が抜けました」
――スポーツ界全体で見ると、最近は無月経や疲労骨折など、女性アスリートの健康問題を発信される人が増えました。中野さんもフジテレビのスポーツ記者時代にさまざまな競技を取材され、間近で感じたと思いますが、そうした空気をどう感じていますか?
「フィギュアスケートに関しても、これだけ厳しいダイエットを強いられていると無月経になっても仕方ないと感じます。ただ、あまりにも過度なダイエットをすると、骨粗しょう症をはじめ、捻挫をしやすくなったり、パワーが出なくて普段は転ばないようなところで転び、怪我をしてしまったり。そういうケースも増えると思うので、どんな競技でも決して“やりすぎ”はすべきではないと思います」