[THE ANSWER] スポーツ文化・育成&総合ニュースサイト

「生理が止まるくらい追い込め」思考の根本 アスリートの“性差”の認識が生む勘違い

スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第13回は「ホルモンの観点からみる性差」について。

第13回は「ホルモンの観点からみる性差」について
第13回は「ホルモンの観点からみる性差」について

連載「女性アスリートのカラダの学校」第13回―「ホルモンの観点からみる性差」について

 スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第13回は「ホルモンの観点からみる性差」について。

本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】

 ◇ ◇ ◇

 女性と男性は、生物として見たときに異なる点がたくさんあります。それらの性差を決めるのが「ホルモン」です。

 性差はスポーツパフォーマンスにも影響します。今回はホルモンの観点から、男女の差の話をしていきましょう。

 恐らく中高生、大学生の皆さんにとって、「ホルモン」といえば焼き肉のホルモンが最も身近だと思います。でも、それと生理学でいうホルモンはまったくの別物! 諸説ありますが、焼き肉のホルモンは「ほおるもん(捨てるもの)」が語源といわれる「内臓肉」。一方、生理学では体内で分泌される「物質」の一つ。ギリシャ語のホルマオ(刺激する)という言葉が語源です。

 ホルモンは語源の通り、体に何らかの生理作用を起こす際、細胞に命令を伝える物質。体内で分泌された後、血液にのって体内を巡り、ターゲットとなる細胞を刺激。すると、体が様々な反応を起こすのです。

 ホルモンは体内に、「幸せホルモン(オキシトシン)」や「睡眠ホルモン(メラトニン)」などなど、それこそ100種類以上もの種類が存在します。そのなかの一部が、「性ホルモン」と言われる「女性ホルモン」と「男性ホルモン」。これらが分泌されることで、人間の体は生物学的に異なる男女の特徴が現れます。

 代表的な性ホルモンを挙げると、女性ホルモンは「エストロゲン」と「プロゲステロン」、男性ホルモンなら「テストステロン」です。女性ホルモンは卵巣から、男性ホルモンは精巣から主に分泌されます。ただし、エストロゲンやプロゲステロン、テストステロンは、男女とも体内に存在するので、女性は女性ホルモン、男性は男性ホルモンの濃度が高い、と覚えておいてくださいね。

 次に女性ホルモンの役割についてお話しましょう。

 性ホルモンが担う役割は多岐にわたりますが、生殖機能に関わる働きが主な役割です。女性ホルモンであれば、妊娠が可能な状態になるよう、体内のさまざまな組織をコントロールするのが仕事の一つ。エストロゲンとプロゲステロンがバランスよく分泌されることで、生理や排卵が起こり、子どもを産める体が維持されます。同じく男性の場合は、テストステロンによって精子が作られる、というわけです。

1 2

須永 美歌子

日本体育大学教授、博士(医学)。日本オリンピック委員会強化スタッフ(医・科学スタッフ)、日本陸上競技連盟科学委員、日本体力医学会理事。運動時生理反応の男女差や月経周期の影響を考慮し、女性のための効率的なコンディショニング法やトレーニングプログラムの開発を目指し研究に取り組む。大学・大学院で教鞭を執るほか、専門の運動生理学、トレーニング科学の見地から、女性トップアスリートやコーチを指導。著書に『女性アスリートの教科書』(主婦の友社)、『1から学ぶスポーツ生理学』(ナップ)

長島 恭子

編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。

W-ANS ACADEMY
ポカリスエット ゼリー|ポカリスエット公式サイト|大塚製薬
DAZN
ABEMA Jleague
スマートコーチは、専門コーチとネットでつながり、動画の送りあいで上達を目指す新しい形のオンラインレッスンプラットフォーム
THE ANSWER的「国際女性ウィーク」
N-FADP
#青春のアザーカット
One Rugby関連記事へ
THE ANSWER 取材記者・WEBアシスタント募集