「生理が止まるくらい追い込め」思考の根本 アスリートの“性差”の認識が生む勘違い
スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第13回は「ホルモンの観点からみる性差」について。
連載「女性アスリートのカラダの学校」第13回―「ホルモンの観点からみる性差」について
スポーツを習い始めたばかりの小学生、部活に打ち込む中高生、それぞれの高みを目指して競技を続ける大学生やトップカテゴリーの選手。すべての女子選手たちへ届ける「THE ANSWER」の連載「女性アスリートのカラダの学校」。小学生からオリンピアンまで指導する須永美歌子先生が、体やコンディショニングに関する疑問や悩みに答えます。第13回は「ホルモンの観点からみる性差」について。
本当にしんどかった重い生理痛 婦人科医に相談、服用し始めたピルが私には合った――サッカー・仲田歩夢選手【私とカラダ】
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女性と男性は、生物として見たときに異なる点がたくさんあります。それらの性差を決めるのが「ホルモン」です。
性差はスポーツパフォーマンスにも影響します。今回はホルモンの観点から、男女の差の話をしていきましょう。
恐らく中高生、大学生の皆さんにとって、「ホルモン」といえば焼き肉のホルモンが最も身近だと思います。でも、それと生理学でいうホルモンはまったくの別物! 諸説ありますが、焼き肉のホルモンは「ほおるもん(捨てるもの)」が語源といわれる「内臓肉」。一方、生理学では体内で分泌される「物質」の一つ。ギリシャ語のホルマオ(刺激する)という言葉が語源です。
ホルモンは語源の通り、体に何らかの生理作用を起こす際、細胞に命令を伝える物質。体内で分泌された後、血液にのって体内を巡り、ターゲットとなる細胞を刺激。すると、体が様々な反応を起こすのです。
ホルモンは体内に、「幸せホルモン(オキシトシン)」や「睡眠ホルモン(メラトニン)」などなど、それこそ100種類以上もの種類が存在します。そのなかの一部が、「性ホルモン」と言われる「女性ホルモン」と「男性ホルモン」。これらが分泌されることで、人間の体は生物学的に異なる男女の特徴が現れます。
代表的な性ホルモンを挙げると、女性ホルモンは「エストロゲン」と「プロゲステロン」、男性ホルモンなら「テストステロン」です。女性ホルモンは卵巣から、男性ホルモンは精巣から主に分泌されます。ただし、エストロゲンやプロゲステロン、テストステロンは、男女とも体内に存在するので、女性は女性ホルモン、男性は男性ホルモンの濃度が高い、と覚えておいてくださいね。
次に女性ホルモンの役割についてお話しましょう。
性ホルモンが担う役割は多岐にわたりますが、生殖機能に関わる働きが主な役割です。女性ホルモンであれば、妊娠が可能な状態になるよう、体内のさまざまな組織をコントロールするのが仕事の一つ。エストロゲンとプロゲステロンがバランスよく分泌されることで、生理や排卵が起こり、子どもを産める体が維持されます。同じく男性の場合は、テストステロンによって精子が作られる、というわけです。