現場で体感、大谷翔平の空気変えるフリー打撃の凄み 大物OBも米記者も皆、息を呑んだ
野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表「侍ジャパン」は3大会ぶり3度目の優勝を成し遂げた。大谷翔平投手(エンゼルス)ら一流選手の団結力で掴んだ世界一。「THE ANSWER」では米マイアミで行われた熱戦を現地取材。大会を通じて伝えきれなかった選手、監督の思いや現地でのエピソードを連載「世界一の裏側」として連日紹介していく。
WBC優勝記念連載「世界一の裏側」#7、誰もが手を止めた大谷翔平のフリー打撃
野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表「侍ジャパン」は3大会ぶり3度目の優勝を成し遂げた。大谷翔平投手(エンゼルス)ら一流選手の団結力で掴んだ世界一。「THE ANSWER」では米マイアミで行われた熱戦を現地取材。大会を通じて伝えきれなかった選手、監督の思いや現地でのエピソードを連載「世界一の裏側」として連日紹介していく。
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第7回は米国でも度肝を抜いた大谷のフリー打撃。試合前の練習で見せた“SHO TIME”は、間近で見届けた米記者や元選手の目にどう映ったのか。準決勝メキシコ戦前のフィールド上で話を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
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試合開始の2時間半ほど前。打撃練習用のケージを取り囲むように集まった各国の報道陣やOB選手がざわめき立った。背番号「16」が打席に向かうと、いち早く駆けつけた観客席のファンからはもちろん、フィールドレベルでも「ヒュー!」という声が上がった。
視線が集まる中、大谷は次から次へと右翼最上段に打球を放り込んだ。圧巻だったのは、右中間に設置された巨大ビジョン付近までかっ飛ばした一発。思わず笑いが沸き起こるほどの、驚異的な飛距離だった。
大物OBすらも目を丸くした。メジャー通算282本塁打、オリックスにも在籍したアダム・ジョーンズ氏は「ボールが本当にかわいそうだった。あまりに強烈だったからね。ボールに同情するよ」とため息を漏らした。メジャー通算251勝左腕のCC・サバシア氏も「いい打撃練習だったね! 彼は史上最高の選手の1人だ」と興奮気味に頷いた。
京セラDや東京Dでもファンの度肝を抜いた大谷の打撃練習。久々の凱旋となった日本だけではなく、主戦場としている米国においても試合前のアーチショーは貴重だ。米紙「USAトゥデイ」の名物記者、ボブ・ナイチンゲール氏は「アナハイムでは室内で打っているから見る機会がないんだ。試合で見る機会はあるけど、彼が打撃練習を外でするのは稀だからね」と解説する。
米国でも滅多に見られないひと時に「とてもクールだね。興奮したよ。見ていてとても楽しかった。興奮したね」と敏腕ベテラン記者の顔も思わずほころぶ。唯一残念そうだったのは、試合開始まで時間があったため、観客がまだ入り切っていなかったこと。「もっと多くのお客さんに見てもらいたかった」とナイチンゲール氏は嘆いた。