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WBCメキシコのお祭り男に日本人記者も虜 心から野球を楽しむファンにも感じた“凄み”

アロサレーナがフライを掴めば大騒ぎの“共通認識”が誕生

 アロサレーナは日本戦、9回までは間違いなく主役だった。特に球場を沸かせたのは5回の守り。岡本和真が左翼フェンスをギリギリ越えようかという大飛球を放ったが、これをジャンプ一番で“ホームラン強奪キャッチ”。仁王立ちでドヤ顔ポーズを披露した。

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 これに熱狂的なメキシコファンは「MVP!」コールを湧き起こすなど狂喜乱舞。このプレー以前からノリノリだったが、更に勢いづいた。観衆3万5933人の大部分を占め、数でも日本ファンを圧倒。侍ジャパンにとっては完全アウェーの空気を生み出した。

 スーパーキャッチ以降、メキシコファンの間には“共通認識”が生まれた。「アロサレーナが飛球を捕る」ことが、大騒ぎのサインになったのだ。

 5回2死満塁で近藤健介が放った打球に俊足を飛ばし、背走しながらキャッチした好プレーの時はもちろん、通常のフライでも絶叫。アロサレーナも観客を煽る仕草を見せるなどエンターテイナーらしさを存分に発揮し、一人で会場の空気を変えていた。

 その後、日本は7回に吉田正尚の値千金3ランで一時同点に。大騒ぎのメキシコファンは沈黙したが、その裏8回に消えかけた火をまた燃やしたのがアロサレーナだった。

 1死から日本が誇る好投手・山本由伸から右越え二塁打で出塁。塁上でトレードマークの腕組みポーズを決めると、続くベルドゥーゴのタイムリーで勝ち越しのホームを踏んだ。9回に村上宗隆の逆転サヨナラ打が生まれなければ、さらに英雄扱いされていたに違いない。

 メキシコ戦を右翼ポール際のスタンドに設けられた記者席から見て感じたのは、アロサレーナにもメキシコファンにも、野球を心から楽しむという“凄み”があったことだ。

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