侍Jのサヨナラ劇を伝えた米実況に直撃 あの瞬間、咄嗟に叫んだ「LAST BREATH」の意味
背景なども考えてとっさに出てきたワードは「LAST BREATH」
――昨日のサヨナラの実況はとても素晴らしかった。
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「ありがとうございます。今大会は全てがアメージングですが、あの場面は特にあっという間の出来事でした。オオタニが初球打ち、そして(吉田が)四球。出てきた一塁代走(周東)の走塁は私が今まで見た中で誰よりも速かった。瞬きの間にもう終わっていました」
――あの瞬間、なにを考えていたのでしょうか。
「重大な場面で、背景なども考えて何が一番大きな意味を持つのか考えようとしていました。ただ日本が勝利を収めようとしている、というだけではなく、それ以上に大きなストーリーはなんだ、と。私は、これが彼らのラストチャンスだ、と思ったので、とっさに『LAST BREATH(息絶える寸前)』という言葉が出てきました」
――ワールドシリーズやオールスターといった大きな試合の実況を担当してきました。この大会はそれらの試合と比べてどうでしょうか。
「別物です。一言で言うなれば別物です。この大会は特別で、独特です。(ワールドシリーズなどよりも)はるかに大きなセレブレーション(祝祭)の中にいるという感じがあります」
――大きなセレブレーションと感じられているこの大会は、野球界にどんな意味をもたらすと思いますか。
「多くの喜びをもたらしてくれています。このスポーツにとって素晴らしいと思います。世界中に野球ファンはいますが、ちょっとだけ好き、という人もこの大会を見てさらに好きになってくれるかもしれません。今まで一度も見たことがなかった人が初めて見るのがこの大会だったとしたら、野球を代表するものとしてなんて素晴らしい大会でしょう」
――最後に、大舞台を実況されてきたあなたの目から見て、印象に残った日本人選手を教えてください。
「簡単すぎる回答だと分かっていますが、ササキ(佐々木朗希)は見ていて感銘を受けました。ヤマモト(山本由伸)の積極的な投球も素晴らしかったです。投手陣はこの2人。打者のほうではヨシダ(吉田正尚)ですね。レッドソックスは払い過ぎだ、という人も多くいましたが、昨夜の活躍を見ればもうそうは思わないでしょう(※1)」
【※1】吉田はメキシコ戦で3点を追う7回に値千金の同点3ラン。今季から加入するレッドソックスとは、5年総額9000万ドル(約120億円)の大型契約を結んでいる。
■ジョー・デービス(Joe Davis)
1987年生まれ。米ミシガン州出身。2014年からFOXスポーツに加入。22年に同局のMLB筆頭アナウンサーに就任。ワールドシリーズやオールスターといった重要な試合の実況を担当する。並行して16年シーズンからは、カリフォルニア州放送局「スポーツネットLA」でドジャースの実況も一部担当。翌17年には、66年間実況を務めた伝説的アナウンサー、ビン・スカリー氏の後を継ぎ、同局のドジャース中継メイン実況となる。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)