侍Jのサヨナラ劇を伝えた米実況に直撃 あの瞬間、咄嗟に叫んだ「LAST BREATH」の意味
野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表「侍ジャパン」は3大会ぶり3度目の優勝を成し遂げた。大谷翔平投手(エンゼルス)ら一流選手の団結力で掴んだ世界一。「THE ANSWER」では米マイアミで行われた熱戦を現地取材。大会を通じて伝えきれなかった選手、監督の思いや現地でのエピソードを連載「世界一の裏側」として連日紹介していく。
WBC優勝記念連載「世界一の裏側」#3、村上宗隆のサヨナラ打を全米に届けた名実況
野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本代表「侍ジャパン」は3大会ぶり3度目の優勝を成し遂げた。大谷翔平投手(エンゼルス)ら一流選手の団結力で掴んだ世界一。「THE ANSWER」では米マイアミで行われた熱戦を現地取材。大会を通じて伝えきれなかった選手、監督の思いや現地でのエピソードを連載「世界一の裏側」として連日紹介していく。
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第3回はWBCを全米中継した米放送局「FOXスポーツ」の実況ジョー・デービス氏が振り返る準決勝メキシコ戦の劇的な結末。大リーグ(MLB)ワールドシリーズの実況も任される実力派アナウンサーは、土壇場の逆転劇の瞬間になにを考え、どう伝えたのか。印象的な場面に言葉で花を添えるプロの極意を聞いた。(取材・文=THE ANSWER編集部・鉾久 真大)
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「打球が上がった!(cracked in the air!)センター深くへ!(deep center field!)トーマスが追いかける!(Thomas on the move!)フェンス直撃だ!(it’s off the wall!)」
「オオタニが帰ってくる!(Ohtani is in the score!)そしてサヨナラのランナーも!(HERE COMES THE WINNING RUN!)」
「日本が!(JAPAN!)ひっくり返した!(TURNS IT AROUND!)息絶える寸前に!(ON ITS LAST BREATH!)」
日本のテレビで観戦していた人は耳にする機会がなかったかもしれない。しかし、デービス氏が全米中継で張り上げた声は、「FOXスポーツ」のMLB専門ツイッターのハイライト動画でも取り上げられ、現時点で2400万回以上再生されている。書き起こした文字を見るだけで、興奮が蘇る世界の野球ファンもいるはずだ。
1点ビハインドの9回裏。先頭の大谷が初球を右中間に弾き返し二塁打とすると、続く吉田が四球で出塁。一塁代走に周東が送られ、打席には不振の村上が立った場面だ。1-1からの3球目を振り抜くと、打球は中堅手の頭を越えてフェンスに直撃。一気に2人が生還し、日本は6-5で劇的な逆転サヨナラ勝利を収めた。
一夜明け、筆者は米国との決勝前のフィールド上で、声の主を見つけた。インタビューを申し出ると、デービス氏は「よろこんで!」と気さくに応じてくれた。35歳とまだまだ若手ながら、昨季からMLBのオールスターやワールドシリーズなど大舞台を任されている実力派アナウンサーは、熱戦の結末を「あっという間の出来事でした」と振り返った。