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ドイツリーグのプレー風景【写真:本人提供】
ドイツリーグのプレー風景【写真:本人提供】

競技人口は減少傾向、普及の障壁は?

 近年の競技レベル上昇の要因として、野球の本場・米国を経験した選手のUターンがある。大リーグ(MLB)機構は欧州でもスカウティングキャンプを開催し、ポテンシャルある選手に米国挑戦のチャンスを与えてきた。ほとんどがルーキーリーグや1A止まりとなるが、マイナーリーグでプレーした選手が自国で伝えるものは大きい。

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 米国の大学に進学する選手もいる。英語に不自由しない選手も多く、プロを目指せる上に、学位を取れば自国に帰っても仕事でプラスになる。

 ただ、長田氏によると競技人口は8年間でむしろ減っている印象があるという。チーム数が減少傾向で、主な原因は資金面だ。興行野球ではないため、チケット代を取らないチームはスポンサー料かユースチームの会費くらいしか収入がない。

「五輪の種目から外れて助成金も減り、苦しくなったチームは増えたかなと思います」

 普及面で、長田氏が考える野球とサッカーの差は大きく3つある。ルールの難解さ、道具にお金がかかること、場所が必要であることだ。「手軽に、気軽にできない」が野球の障壁になっている。

 この難題に対処すべく、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)はボールだけで手軽にできる簡易版ストリート競技「baseball 5」の拡大を図っている。可能性は未知数であるとしながら、26年のユース五輪新種目になった競技に長田氏は「今、野球界に大切なことは少しでも露出を増やして、にわかファンを沢山作ること」と期待を示した。

 最後に、普段欧州の野球に触れる機会がない人たちに伝えたいことを聞いてみた。

「WBSCにも欧州で40か国ほどが加盟していて、レベルはピンキリですが、キリでも一応自国リーグはあります。日本の中学、高校生レベルのリーグもありますが、世界中で野球がプレーされていることにぜひ目を向けてほしい。野球に限らず、日本が合わなければ海外に行けばいいんです。そして海外が合わなければ日本に戻って来ればいい。常に募集をしていますし、日本の野球人も世界にもっと飛び出してほしいですね」

 勇気を持ち、一歩を踏み出せば開ける世界がある。挑戦する選手のサポートも通じ、長田氏は日本と欧州を繋ぐ役割をこれからも担っていく。

【世界の野球に望む未来】

「野球は『世界的スポーツ』の枠組みに入ると思うので、いろいろな場所で、いろいろな人がプレーしてほしいなと思います。人種・国籍関係なく、混ざって野球をやれる環境が出来れば。言語を介さないで楽しめるのがスポーツの魅力であり、野球の魅力でもある。例えば、台湾人とドミニカ人とアメリカ人と日本人が一つのチームにいれば、それって小さな世界だと思うので。そういうものを至る所で作りたいです」

(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)


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