侍ジャパンで株を上げた3人 東京D最終戦に強行出場した源田壮亮は「命をかけている」
“追いロジン”再び、伊藤はイニング途中のピンチで慣れないリリーフ
2人目は、伊藤大海投手(日本ハム)。最終的に9-3で大勝した侍ジャパンだが、4-0で迎えた5回の守りで、先発の大谷翔平投手(エンゼルス)が2安打2死球で2点を失い、なおも2死一、三塁のピンチを残して降板した場面では、にわかに暗雲が垂れこめた。ここで登場したのが伊藤だった。「マウンドへ向かう時、栗山監督からは、点を取られちゃいけないとは考えなくていいと言われましたが、あそこを任された以上、走者を還したくなかった。絶対還さないという気持ちで投げました」と向こうっ気の強さがあふれる。
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カウント1-2から真ん中低めに投じ、相手打者が見送った6球目の153キロのストレートは、日本中のファンがストライクで三振、と確信した1球だったが、球審の判定はボール。それでも気落ちすることなく、次の7球目の153キロで遊飛に仕留めチャンスを脱した。
そして、伊藤の代名詞と言えば「追いロジン」。この日も、マウンド上で伊藤が立てたロジンの白煙が本塁方向へ漂い、相手打者が顔をしかめる一幕があったが、その後もロジンに手を伸ばした。2021年東京五輪の準決勝・韓国戦では、相手からクレームがついたほど。ルール上の問題はないが、ロジンを他の投手より多めに使うのは事実だ。「今日はいつもの倍、手汗が……無意識にロジンに手が伸びていました」と苦笑した。
プロ入り後、専ら先発ローテの一角を務めてきた伊藤は、リリーフ登板には慣れていない。しかも、イニング途中のピンチの場面で登場となると、回の頭からと違い、さらにハードルが高い。この日の伊藤の仕事は打者1人を打ち取ることだけだったが、ダルビッシュ有投手(パドレス)にも、今永昇太投手(DeNA)にも任せられない役割を果たしたのだから、貢献度は大。精神力の強さが際立つ。準決勝以降でも、同様の役割を託される可能性がある。