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世界の大谷翔平から3球三振を奪った電気技師 チェコ投手をビギナーズラックと言えない理由

中野が127キロの真っすぐで詰まらされ「それもピッチングの奥深さ」

 印象的だったのは、2回1死満塁で中野拓夢選手が打ち取られた場面。4球目の127キロの真っすぐに詰まらされ、二飛に倒れました。

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 それまでの流れを見ていくと、3球連続チェンジアップ(112キロ見逃しストライク、114キロ空振りストライク、116キロ見逃しボール)の後、127キロの真っすぐで差し込まれる。シーズン中だったら、127キロは逆に泳がされるはずです。それもピッチングの面白さであり、奥深さではないでしょうか。

 また、コントロールも絶妙でした。チェンジアップは握りを変えるだけで、真っすぐと同じように腕を振って投げるのが基本。でも、コントロールはしづらくなるので、特にチェンジアップの制球は投げ込むことでしか養えない部分。コントロールが悪かったら、打者からすると怖くないボールなので。

 真っすぐとチェンジアップを、打者からすると打てるストライクゾーンぎりぎりに投げ込んでいる。だから、打者は打てると思って手が出る。電気技師として働きながらプレーをしていることも話題になりましたが、相当な練習を積んでいなければ、これだけの大舞台であのピッチングはできません。

 もちろん3回で捕まってしまったので、日本クラスを相手に先発で9イニング投げるのは厳しいですが、無失点に抑えられた2イニングは技術ありき。その上で、日本の打者が普段見ない投手だったという理由がついてくる。なので、サトリア投手の投球は単なるビギナーズラックではなかったと思っています。

 そして、サトリア投手の30キロ以上速い真っすぐを投げ、驚かせたのが佐々木投手でした。

(後編に続く)

■内田聖人 / Kiyohito Uchida

 1994年生まれ。早実高(東京)2年夏に甲子園出場。早大1年春に大学日本一を経験し、在学中は最速150キロを記録した。社会人野球のJX-ENOEOSは2年で勇退。1年間の社業を経て、翌2019年に米国でトライアウトを受験し、独立リーグのニュージャージー・ジャッカルズと契約。チーム事情もあり、1か月で退団となったが、渡米中はダルビッシュ有投手とも交流。同年限りでピッチングストラテジストに転身。2020年に立ち上げたパフォーマンスアップオンラインサロン「NEOREBASE」は総勢400人超が加入、千賀滉大投手らプロ野球選手も多い。個別指導のほか、高校・大学と複数契約。今も最速155キロを投げる。

(THE ANSWER編集部・神原 英彰 / Hideaki Kanbara)


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