「日本人には日本の食事が一番いい」 130歳まで生き抜くつもりの87歳鉄人ボディビルダーの美学
3食「玄米ご飯、納豆、味噌汁」で病気知らず
34歳で一度競技を離れたが、50歳でカムバック。「腹は出る。腕は細くなる。これがかつてのチャンピオンの姿か」。王者の面影を失った自分の体にショックを受けて奮起した。以降、日本マスターズボディビル選手権で13回優勝。昨年には、IFBB世界ボディビル選手権に史上最高齢の86歳で出場を果たした。
少なくとも90歳までは現役を続ける予定。「それから先は、皺がどんどん出てくるから」と笑うが、次の目標は明確だ。「130歳まで生き抜いて、世界記録を作りたい」。87年間、全くの病気知らず。「本当に快調なんです。だから、ひょっとしたら努力次第では130まで行ける可能性があると確信しています」と手応えを感じている。
健康の秘訣は食事。50歳になってからは全く肉類を食べず、3食玄米ご飯、納豆、味噌汁を貫く。ボディビルダーとしては「肉を食べたほうがもっといい体になれる」と確信しているが、長生きのために現在の食生活がベストだと判断した。
「最年長の世界記録を作って、『日本人には日本の食事が一番体にいいんですよ』と実践を通して証明したい。それが私の一生の仕事だと思っています。130歳まで生きたら、金澤の論理ができるでしょう。そういう人生でありたい。歴史に名前を残したい」
目標があるからこそ、米寿が近づいた今でもひたむきに努力できる。広島トレーニングセンターの会長として、今でも毎日12時間勤務。自身のトレーニング時間は1時間減ってしまったが、それでも毎日2時間は己の肉体を鍛える時間に充てている。
「私の人生を通して、世のおじいさん、おばあさんに頑張ったらこうなるんですよ、健康でいられるんですよ、と証明したい。年を取って体力や精神力が衰えると、夢を失ってしまう方がほとんど。夢があるから頑張れる。どんなに苦しくても夢があるから、頑張ってこられたんです」
20歳で「日本一になる」と決めた日から67年。金澤の目指すゴールは変わったが、夢を追いかけ続ける姿勢は87歳になった今も変わらない。
(THE ANSWER編集部・鉾久 真大 / Masahiro Muku)