シュワちゃんは何が凄いのか ガチビルダー勢が愛する「アーノルド」の究極の肉体美
半世紀前に人類の理想形として完成した肉体を作り上げたアーノルド
彼は7度もボディビルの世界チャンピオンになりましたが、まず体のバランスが完璧です。活躍したのは、1970年代と今から約半世紀も前ですが、当時、すでに人類の理想形として完成した肉体を作り上げています(バズーカ的には)。現代はトレーニング器具の性能も上がり、体に与える影響もだいぶ進化しています。しかし、アーノルドは今のような器具がないなかで、そしてサプリメントも、研究による情報も圧倒的に少ないなかで、完璧な、美しい体を作り上げている。今まさに取り組んでいる私からすると、「自分は一体どうしたらいいんだ? なんて情けないんだ!」という気持ちです。
現代のトップクラスのビルダーが彼より圧倒的に勝っているのは、脚です。脚の筋肉量は今のビルダーの方がかなり大きいですからね。でも、残念ながらデカすぎてちょっと気持ち悪い。もちろん、ビルダー的には「よくつけたな」と感服しますが、美しくはないんですよね(バズーカ的には)。一般的な美の感覚でいうと、アーノルドの筋肉の付き方がかっこいい。人類が求める筋肉美はアーノルドがとっくに極めてしまったなと感じます。
もう少し細かく言うと、まず上半身の形がすごくカッコいい。彼の上半身は理想的な「Vシェイプ」、つまり逆三です。しかも、「V」の形も美しい。逆三角形を作るには、肩、広背筋のアウトラインが重要です。腰から肩からに向かってしっかりワイド感があり、背中もものすごく広い。肩の丸さも理想的です。
「Vシェイプ」は、ある程度、条件が揃っている恵まれた体でないと綺麗には実現できません。アーノルドのような低い位置から広がる背中をローラット(高い位置の人はハイラットという)といいますが、ウエストからグーッと斜め上に広がり、マントを広げているようなシルエットになる。トレーニング方法の成果もありますが、広背筋の付着部が下までこないと、どうやってもこのシルエットにはなりません。
さらに、体の正面を見ると、ボディを構成する大胸筋から、それに連なる腹筋の輪郭が「V」の字を刻んでいる。上半身全体もV、パーツもVと二重の逆三体形なのです。
そして、幼い私が衝撃を受けた大胸筋です。まず、面積が広い。まさに「北斗の拳」のキャラクターや「仮面ライダー」と同じスクエアで、大きな面積を持つ大胸筋です。逆に彼らの大胸筋は、アーノルドをモデルにしたんじゃないか!? と思うぐらいに、かっこいい。大胸筋が(左右に)すごく長いという体の才能もありますが、昔のアーノルドのトレーニング映像を見ると、横に広がるトレーニングもやっている。やはり才能だけでなく、努力の賜物です。