金メダル以上に求めるもの 女子ソフトの天才打者、東京五輪への想いとは
それでも現役にこだわった理由―ソフトボールへの「感謝」
小1で野球を始め、神奈川・厚木商からソフトボールに転向。すると、インターハイを連覇するなど、非凡な才能が花開いた。卒業後に入団した日立製作所では1年目から本塁打王、打点王、ベストナイン、新人王とタイトルを総なめ。左打ちから繰り出す非凡なバットコントロールで、いつしか「女イチロー」の異名がついて回るようになった。投手では上野、野手では山田。ソフトボール界を牽引する立場に成長した。
だからこそ、五輪競技から除外されたことには落胆してしまった。「人間って目的、目標があるからこそ頑張れると思うんです」。その目的であり、目標を失ってしまった。昨年、競技復活が決まるまで、30歳を超えてなお、現役にこだわった。「五輪がない中でもなんで続けてきたかというと……」、そう言って、率直な思いを明かした。
「ソフトボールを通じて、いろんな人に出会ったり、いろんな経験させてもらったりした。もうソフトボールを盛り上げなきゃいけない立場だし、ソフトボールを通じて、見ている人に何かを伝えたいと思うから続けているんです」
自身を支えてきたのは、高校1年で始めて以来、成長させてくれたソフトボールへの感謝の思いだった。そして、迎える20年の東京五輪。意外にも、求めているのは、結果ではないという。
「自分が金メダルを獲りたい、結果を出したいという以上に自分がプレーすることによって、何か人にいい影響を与えたいというのをすごく思っている」