上野由岐子、涙の金「諦めなければ夢はかなう」「もう感無量です」 39歳エースで君臨
東京五輪のソフトボール世界ランク2位の日本は27日、決勝(神奈川・横浜スタジアム)で同1位の米国を2-0で下し、2008年北京五輪に続く実施2大会連続の金メダルを獲得した。39歳の上野由岐子は今大会4度目の先発で5回0/3を無失点。一度交代した後に最終7回にも再登板し、3者凡退に抑えた。24年パリ五輪は実施されない中で永遠のライバルを倒し、再び世界一の座を手にした。
ソフトボール決勝、日本VS米国のライバル対決
東京五輪のソフトボール世界ランク2位の日本は27日、決勝(神奈川・横浜スタジアム)で同1位の米国を2-0で下し、2008年北京五輪に続く実施2大会連続の金メダルを獲得した。39歳の上野由岐子は今大会4度目の先発で5回0/3を無失点。一度交代した後に最終7回にも再登板し、3者凡退に抑えた。24年パリ五輪は実施されない中で永遠のライバルを倒し、再び世界一の座を手にした。
上野は初回に2度三塁に走者を置くピンチを招いたが、後続を抑えて無失点だった。米国は3回無死一塁で先発左腕のキャサリン・オスターマンから右腕アリソン・カルダにスイッチ。日本は2死一、二塁にチャンスを広げたが、無得点に終わった。それでも、4回2死一、三塁、9番・渥美万奈が二塁へのゴロで一塁にヘッドスライディング。執念の内野安打の間に三塁走者が先制のホームを踏んだ。
一進一退の攻防が続く中、5回2死一塁で米国は35歳のモニカ・アボットを3番手で投入。しかし、直後に藤田倭(やまと)が右前適時打を放ち、日本は追加点をもぎ取った。塁上の藤田はベンチに向かって雄叫び。リードをもらった上野は5回まで1安打5奪三振無失点に抑えた。6回先頭に左前打を許したところで降板。今大会、好リリーフを見せてきた20歳の後藤希友に後を託した。
後藤は1死一、二塁の大ピンチ。痛烈なライナーが三塁手の山本優を襲い、グラブで弾いたボールが遊撃手の渥美の方向へ飛んだ。これをノーバウンドでキャッチすると、二塁に転送して併殺打に仕留めるビッグプレー。ナインも日本ベンチも拍手喝采の好守が生まれた。上野は再び出場できる「リエントリー」で最終7回に再登板。最後の打者を捕邪飛に抑え、米国打線を3者凡退に切ってとった。
優勝が決まった瞬間、選手たちは歓喜の輪を作った。4試合で389球を投げた上野は、宇津木麗華監督と抱き合って大粒の涙を流した。テレビインタビューでは「もうほんと感無量です」とコメントし、こう続けた。
「やっぱり途中リリーフで投げてくれた後藤が顔面蒼白でいっぱいいっぱいだった。逆に自分が投げてやるんだと奮い立たせてもらった。最終的に皆さんの期待に応えられてよかった。(先発は)これが自分が背負っているものだと思っていた。13年間いろんな想いをしてここまで来たので、投げられなくなるまで今日は投げるという想いだった。
地元開催でプレッシャーもあったし、近くで麗香監督を見て日に日に押しつぶされてしまうんじゃないかって思った。13年という年月を終えて、最後に諦めなければ夢は叶うとたくさんの人に見せられた。ソフトボールは次回はなくなってしまうけど、また諦めることなくしっかり前に進んでいきたい」
ソフトボールは、日本が金メダルを獲得した08年北京五輪以来3大会ぶりに五輪競技として実施。前回は上野が2日間413球を投げ抜く大車輪の活躍を見せ、悲願の金メダルを掴みとった。「上野の413球」と語り継がれた伝説の決勝から13年。優勝を夢に掲げ、39歳となってもエースに君臨する上野とともに2度目の金メダルを手にした。
過去4大会で3度金メダルの米国は、前回大会に続いて決勝で日本に敗れ、2大会ぶり4度目の金メダルはならず。メキシコとの3位決定戦を制したカナダが銅メダルとなった。
【日本と上野の今大会成績】()内は上野の登板成績
21日オーストラリア戦 〇8-1(4回1/3無失点、2安打7奪三振、85球)
22日メキシコ戦 〇3-2(6回2失点、5安打10奪三振、121球)
24日イタリア戦 〇5-0(登板なし)
25日カナダ戦 〇1-0(6回無失点、4安打4奪三振、94球)
26日米国戦 ●1-2(登板なし)
27日米国戦 〇2-0(6回無失点、1安打5奪三振、89球)
(THE ANSWER編集部)