阿部詩、8分超激闘の金メダルに号泣「努力やっと報われた」「お兄ちゃん応援します」
東京五輪は25日、柔道の女子52キロ級決勝で阿部詩(日体大)が世界ランク2位アマンディーヌ・ブシャール(フランス)をゴールデンスコア方式の延長の末に一本勝ちで破り、初出場で金メダルを獲得。2019年11月のグランドスラム大阪大会で敗れ、涙していたライバルを撃破し、同階級では日本柔道界初の快挙となった。
東京五輪柔道女子52キロ級決勝
東京五輪は25日、柔道の女子52キロ級決勝で阿部詩(日体大)が世界ランク2位アマンディーヌ・ブシャール(フランス)をゴールデンスコア方式の延長の末に一本勝ちで破り、初出場で金メダルを獲得。2019年11月のグランドスラム大阪大会で敗れ、涙していたライバルを撃破し、同階級では日本柔道界初の快挙となった。
「本当に、東京オリンピックがあるか分からない状況でこうして開催していただいて、私は金メダルが獲れて、初めての感覚が沸いてきました」
阿部が柔道界に歴史を刻んだ。序盤から寝技を仕掛けてくるブシャールをかわす展開。残り1分を過ぎ、相手に疲れが見えたが、4分間の本戦で決着がつかず、ゴールデンスコア方式の延長戦に突入した。勝負が動いたのは4分過ぎ。寝技に持ち込んで抑え込み、一本勝ちを演じた。勝利の瞬間、涙を流した阿部は畳を拳で何度も叩き、歓喜を爆発させた。
インタビューでは「4年間、この大会だけを目指して日々努力してきた。私の努力がやっと報われて良かった」と感激の様子。激突したのは、ライバルのブシャールだった。「本当にライバルであり、尊敬する選手。最後の相手に相応しいなと思いながらも、勝つことができて良かったです」と8分超えの激闘を振り返った。
この階級で初の金メダル。「52キロ級で私が絶対に獲ってやろうと思っていた」。この後に戦う兄の一二三へ「お兄ちゃんが今からなので、気を抜けないですけど、しっかり応援します」とエールを送り、最後はファンへ「こういう状況の中で応援ありがとうございました。もっと努力して、素晴らしい金メダリストになれるように頑張ります」と宣言した。
3回戦から登場した阿部はラリサ・ピメンタ(ブラジル)に一本勝ち。準々決勝はチャルシー・ジャイルズ(英国)に3分39秒に隅落で技あり優勢勝ち。準決勝に駒を進めると、リオデジャネイロ五輪銀メダルのオデッテ・ジュフリダ(イタリア)にゴールデンスコア方式の延長戦の末に技ありで勝利。銀メダル以上を確定させていた。
兵庫・神戸出身の阿部は一二三ら兄2人の影響で5歳から柔道を始めた。中学3年生で全国中学体育大会優勝。夙川学院高1年だった17年2月のグランプリ・デュッセルドルフをワールドツアー最年少16歳で制覇した。3年だった2018年から世界選手権を連覇し、五輪内定。一躍金メダル候補として、一二三との兄妹五輪金メダルを期待される存在となり、「お兄ちゃんと金メダル」を夢と公言してきた。
一二三はこの後行われる66キロ級決勝でバジャ・マルグベラシビリ(ジョージア)と対戦。柔道史上初の兄妹同時金メダルの期待がかかる。
(THE ANSWER編集部)