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ラグビー日本敗退の夜、ジョセフHCが涙「ありがとう」 藤井Dが明かす「2人きりなった部屋で…」

ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で1次リーグ(L)敗退した日本代表の藤井雄一郎ナショナルチームディレクターが9日、リモートで会見した。8日はプールD最終戦(ナント)でアルゼンチンとの激闘の末、27-39で敗戦。2大会連続の決勝トーナメント(T)進出はならなかった。藤井ディレクターはここまでのチームづくりを振り返り、今後の強化方針を明かした。

アルゼンチン戦後、健闘を称えあうラグビー日本【写真:イワモトアキト】
アルゼンチン戦後、健闘を称えあうラグビー日本【写真:イワモトアキト】

ラグビーW杯フランス大会

 ラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会で1次リーグ(L)敗退した日本代表の藤井雄一郎ナショナルチームディレクターが9日、リモートで会見した。8日はプールD最終戦(ナント)でアルゼンチンとの激闘の末、27-39で敗戦。2大会連続の決勝トーナメント(T)進出はならなかった。藤井ディレクターはここまでのチームづくりを振り返り、今後の強化方針を明かした。

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 試合は開始直後に先制トライとゴールで7点を奪われたが、前半16分にLOファカタバが左サイドで前方に蹴り出したボールを自ら拾い、そのままトライを決めた。SO松田力也のゴールで7-7。一進一退の激闘を繰り広げ、14-15で後半に入った。その後もトライを奪われては、松田のPG、FBレメキのドロップゴールで20-22と2点差に。差を広げられても食い下がったが、最終的にはアルゼンチンの厚い壁に阻まれ、終盤に実力差を見せつけられた。

 全てを出し切った敗戦。試合後はチームで夕食を取り、重圧と向き合い続けた日々からようやく解放されたという。2016年から指揮を執るジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチ(HC)は今大会限りでの退任が決定済み。藤井ディレクターは「部屋でたまたま二人きりになって『ありがとう』と。そこでジェイミーは涙を流していた」と明かした。

 会見の主な一問一答は以下の通り。

――この4年間、選手は準備をしてきた。時間をかけてチームをつくる中でいろんな影響があった。

「やっぱりコロナの影響で全く活動できない時もあって、行けても隔離があったりしていた中、欧州勢やニュージーランドは試合をしていた。イーブンなコンディションかというとそうではない。もちろんその中で工夫をすること。決して言い訳ではないけど、影響がなかったというとそうではない。」

――ベスト8を逃した結果について。

「目標は上を目指していたけど、最後の最後で逆転するかどうかという時にできなかった。どこの責任かというと私に全部ある。真摯に受け止めて次に進みたい」

――ジョセフHCの功績。

「長い間、W杯で勝てない時期があって2015年にベスト8に行けるところまできた。その中で若い選手も成長して、(ジョセフHCは)W杯で6勝3敗。自分たちでもできるんだという意識になった。昨日もチームで話をしたけど、彼も次に向けて進むと思う、日本代表は続いていくので、自分たちもしっかり意識して次にバトンを渡したい」

――昨日の試合後は。

「ホテルでみんなで夕食。お酒を飲んだ選手もいた。一旦区切りなので寂しい気持ちをありながら、昨日は最後にワイワイしていました。ジェイミーは横に座って一緒に飲んで、サンウルブズから一緒に苦労をしてきたし、その中で負けはしたけど、十分今持てる力を出し切ったと思う。そういう意味では悔しい想いもあるけど、日本のラグビーをいい方向に進められたんじゃないかなという話を少ししました」

――HCと印象に残ったこと。

「部屋でたまたま二人きりになって『ありがとう』と。そこでジェイミーは涙を流していた。人前ではあまり泣かないんですけど、しんみりしていました。コーチ陣もスタッフもずっとほぼほぼ変わらないし、ジェイミーも絆という言葉を使っていたけど、選手ともしっかり絆を持っていた。選手同士ももちろんそう。本当にファミリー。家族のようなチームを彼はずっと目指してきた。チーム作りは昔から変わらず、チームとして文化を出すことをやってきた。それは他のコーチにない彼の強みだと思います」

――今後の強化は。

「日本代表がベストの状態で戦わないといけない。いろんなメンバーを使うには組みにくいけど、国際経験を積ませてあげられる環境をつくっていくのが一番じゃないか。何年も言い続けているけど、今後も大事なところ。あとは勝負所の頑張らないといけないところで頑張れなかった。選手はみんな頑張りましたけど。そういう勝負所で力を出すことを意識しないといけない」

――国際試合を増やすのはすぐには難しい。リーグワンで今できることは。

「これも難しくて、全ての選手がリーグワンから借りている選手。イタリア代表とかは所属チームでも欧州の大会にも出ている。それ自体が強化。今回はチームに負担を凄くかけている。リーグワンと代表で選手に凄く負担をかけている。しっかりリーグワンと話し合っていいスケジュールを組んでいきたい」

――選手層の底上げをできた感触は。

「代表で使うことはできるけど、リーグワンはジェイミーにはできない。今いる選手でどう勝つか。どうやって良い選手を送り込んでもらうか一緒に考えないと。全てをHCが責任を負うことではないと思います」

――選手個人で海外に挑戦する期待や、環境を整えることについての考えは。

「春の時点でシーズンが終わったら、ちょうどスーパーラグビーも終わるタイミング。クロスボーダーをやればいいんじゃないかとは以前から言っている。そこにどう関わるか。国際試合ができるという話があるのであれば、しっかり持っていければと思うけど、具体的な話は代表サイドには降りてきていない」

――トニー・ブラウン・アシスタントコーチの今後は。

「ラグビーが大好きな人。コーチはしていくだろうけど、中身は聞いていないです」

――代表は31人から33人に人数が増えた。追加召集の山中亮平を入れて34人。使っていない選手が5人くらいいる。

「何度も使おうと試みた選手はいる。(開幕前の)イタリア戦でもそうだけど、ずっと試合数が少なかったので出るであろう選手を何度も使いたい気持ちがあった。主軸すら試合数が少ないので、彼らに試合数を積ませた。もちろん勝っていたら違っていたかもしれないが、そういう意味で前回と同じような感じになってしまった」

――目の前のテストマッチに勝たないといけないというのもあった。

「それプラス、試合数が少なかったのと他の選手に経験を積ませる余裕がなかったのが現状だと思います」

――新しいHCにどんなことを期待するか。

「協会がどういうコンセプトでやっていくのか。しっかりしたHCを呼べば選手がついていくと思う。私たちは日本にいるので、しっかりサポートしていきたい」

(THE ANSWER編集部)


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