ラグビー日本の外国選手にも伝える侍文化 「相手を殺すか、自分が死ぬか」稲垣啓太が説いたこと
ラグビー界発展のため、稲垣が説くこの試合の意義「間違いなく言えるのは…」
FW8人にメンバー変更はなし。屈強なFWを誇るアルゼンチンだが、稲垣も総仕上げを終えたスクラムに絶対の自信を持つ。胸を張るのは技術や体力だけではない。7、8月の代表戦は1勝5敗。それでも開幕から試合を重ねるごとにプレー精度が上がり、精神面も揺るぎないものになった。
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「凄いプレッシャー下で試合を続けてきた。初戦も全員が感じていたと思うし、イングランド戦もそう。サモア戦も負けたら通過の可能性が凄く低くなる。その中で自分たちが準備してきたものを出して勝ったのが先週の全て。そういう意味でチームの状態は凄くよくなっている。間違いなく個人の能力は上がっているし、チームの能力もそれに比例して大きくなってきていると僕は思っています」
前回のサモア戦を右ふくらはぎの負傷で急遽欠場したSH流大は、今回もメンバー外。稲垣は「チームとしても凄く残念ですけど、何より残念なのは本人。次を勝たなければ、プレーする機会は得られない。しっかり背負って、自分のやるべきことやりたい。みんなその想いを持ってる」と強調。前戦に続いて齋藤直人が先発、代表初キャップを獲得した福田健太がリザーブ入りし、一丸で戦う。
「相手がどんなラグビーをしてくるか予想できている。でも、相手も同じように予想している。日本が何を一番大切にしているか。準備してきたことを100%グラウンドで出せるかどうか、です。出せなければ負ける、出せれば勝てるという自信を持っています」
過去の直接対決1勝5敗の日本は1998年以来25年ぶりの勝利に加え、海外開催初&2大会連続の決勝T進出が期待される。この日は午後3時40分から20分ほど練習を公開。FW陣はスクラムを組み、芝の感触などを確かめた。
南アフリカを倒し、歴史的大番狂わせを起こした「ブライトンの奇跡」から8年。4年前は日本大会で史上初の8強入りし、一大ラグビーブームを巻き起こした。8年前は後半から途中出場し、以降は主力を張ってきた稲垣。「間違いなく言えるのは」と切り出し、この試合の意義を説いた。
「このアルゼンチン戦に勝って2大会連続で決勝Tに進むことは、日本ラグビーが一貫性を持って準備してきたことが結果として表れるということ。そういう意味で凄く大きな意味を持つ」
ラグビー界発展のため、未来を背負う子どもたちに託すため。「準備してきたものを全て出す。その一言に尽きる」。笑わない男は、ここで斬られるつもりはない。
(THE ANSWER編集部)