久保建英、三笘薫らW杯代表4人を指導 川崎U-12元監督が“利き足”重視に転換した理由
サッカーのカタール・ワールドカップ(W杯)に出場する日本代表は、26人のメンバーで構成されている。過去6大会の登録リストを見ても、そこには様々なドラマやその時代を象徴するような傾向があったが、今回は「川崎フロンターレU-12」に所属した選手が4人も含まれているのが1つの特徴と言える。板倉滉(ボルシアMG)、三笘薫(ブライトン)、田中碧(デュッセルドルフ)、久保建英(レアル・ソシエダ)は、いかにしてW杯メンバーへと駆け上がっていったのか。川崎U-12監督として少年時代の彼らと接した髙﨑康嗣氏(現・テゲバジャーロ宮崎監督)にインタビュー。第1回では、彼らの成長を支えた「利き足重点指導」について語る。(取材・文=加部 究)
川崎U-12・高崎康嗣元監督インタビュー第1回、初参戦の世界大会を経て指導方針を転換
サッカーのカタール・ワールドカップ(W杯)に出場する日本代表は、26人のメンバーで構成されている。過去6大会の登録リストを見ても、そこには様々なドラマやその時代を象徴するような傾向があったが、今回は「川崎フロンターレU-12」に所属した選手が4人も含まれているのが1つの特徴と言える。板倉滉(ボルシアMG)、三笘薫(ブライトン)、田中碧(デュッセルドルフ)、久保建英(レアル・ソシエダ)は、いかにしてW杯メンバーへと駆け上がっていったのか。川崎U-12監督として少年時代の彼らと接した髙﨑康嗣氏(現・テゲバジャーロ宮崎監督)にインタビュー。第1回では、彼らの成長を支えた「利き足重点指導」について語る。(取材・文=加部 究)
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2006年に創設した川崎フロンターレUー12は、1期生から目を見張る結果を出し続けた。この年代の世界一を競う「ダノン・ネーションズ・カップ」には、08年を皮切りに4年連続して日本を代表して出場している。もちろんJリーグアカデミーなので、優秀な子供たちを集められる利点はある。しかし小学生年代だけに対象者は近隣の子供たちに限られ、全国に溢れるジュニアチームの中でこれだけ継続的に頂点を極めるのは奇跡に近い。しかも彼らはその後も順調に成長を遂げ、今回のカタールW杯の日本代表にも板倉滉、三笘薫、田中碧、それに久保建英と、在籍経験のある4人の選手たちが名を連ね、いずれも現在は欧州に活躍の場を移している。
小学生年代で未来の開花を見極めるのは簡単ではない。中学や高校まで進んでも、数多の天才たちが消えていく。危うげなフットボールプレーヤーの才を、どう発掘していかに育てたのか。当時川崎U-12監督として世界大会へと導いた髙﨑康嗣監督(現・テゲバジャーロ宮崎監督)に聞いた。
「2006年にジュニア(U-12=小学生年代)を起ち上げ、セレクションを実施しました。上手い、大きい、速い……いろんなタイプの選手を獲ってみて、スタッフ内でも侃々諤々の議論を交わし試行錯誤を重ねました。毎日どうやって成長させようかと四苦八苦しているうちに、気がついたら勝っていた感じです」
すでに1期生14名の合格者の中に、板倉や日本代表歴を持つ三好康児(アントワープ)らの名前があり、3名だけ選出された1学年下の選手の中には三笘がいた。
「薫はまだ幼くて、楽しそうにセレクションに参加していました。ギリギリで判断してプレーを変えられるし、団子の輪から外れてボールがこぼれて来そうなところにいる。面白いな、とは思いましたが、小さいし華奢だし、だいぶ議論を重ねた末に獲りました」