W杯大一番で見たラグビー王国NZの規律 勝敗を分けた小さな差、試合前に見つけた象徴的な景色
連日熱戦が繰り広げられているラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会。「THE ANSWER」は開幕戦から決勝戦まで現地取材するカメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラムを随時掲載する。今回は20日(日本時間21日)に行われた準決勝でアルゼンチンを44-6で破ったニュージーランドから。
ラグビーW杯フランス大会 カメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラム
連日熱戦が繰り広げられているラグビーワールドカップ(W杯)フランス大会。「THE ANSWER」は開幕戦から決勝戦まで現地取材するカメラマン・イワモトアキト氏のフォトコラムを随時掲載する。今回は20日(日本時間21日)に行われた準決勝でアルゼンチンを44-6で破ったニュージーランドから。
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それは僅差、ほんのわずかの差だった。ただその差が勝敗を分けたように見えた。それはW杯の大一番で見たニュージーランドの規律(Discipline)。
ニュージーランドとアルゼンチンによる準決勝。攻めても、守っても、ニュージーランドの“らしさ”があふれる試合だった。チームの中で決められたプレーを順守しながらも想像的に、軽やかなテンポとリズムで相手をかわし、いくつものトライを奪った。
印象としては「5:2」。どんな場面でもニュージーランドが5人に対してアルゼンチンが2人、次々とフォローの選手が現れてはボールを敵陣深くへと運んでいく。ピッチ上には等しい数の選手がいるはずだが、ファインダー越しの世界は黒衣の選手があふれていた。
チームのために、自らがやるべきことは何か。ラインアウト、スクラム、すべてのプレーにおいてオールブラックス(ニュージーランド代表の愛称)選手全員が、一つの生き物として連動する様は美しく、圧巻だった。
そんなオールブラックスの規律を象徴するかのような景色を、試合のピッチで見つけた。それはゴールラインに整然と並べられた26個のボール。精密機械の様に正確に、自らのリズムを刻むオールブラックスのラグビーは80分が全てじゃない。試合はキックオフの前からすでに始まっていた。
■イワモト アキト / Akito Iwamoto
フォトグラファー、ライター。名古屋市生まれ。明治大を経て2008年に中日新聞入社。記者として街ネタや事件事故、行政など幅広く取材。11年から同社写真部へ異動。18年サッカーW杯ロシア大会、19年ラグビーW杯日本大会を撮影。21年にフリーランスとなり、現在はラグビー日本代表の試合撮影のほか、JAPAN RUGBY LEAGUE ONEオフィシャルフォトグラファーを務める。
(イワモト アキト / Akito Iwamoto)