ピンクのメガホンの向こうで一礼した1年生 美しい瞬間、応援席越しにとらえた日大藤沢の絆
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は8日から熱戦が繰り広げられている。「THE ANSWER」は新人カメラマンのフォトコラムを連日掲載。今回は、日大藤沢の1年生がスタンドに向けた一礼。18日に等々力球場で行われた5回戦の横浜隼人戦、4回裏にタイムリーを放った半田南十(1年)は攻守交替で守備位置に就くと頭を下げ、声援に感謝を表した。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
THE ANSWER編集部・新人カメラマン「夏の高校野球神奈川大会フォトコラム」
第105回全国高校野球選手権・神奈川大会は8日から熱戦が繰り広げられている。「THE ANSWER」は新人カメラマンのフォトコラムを連日掲載。今回は、日大藤沢の1年生がスタンドに向けた一礼。18日に等々力球場で行われた5回戦の横浜隼人戦、4回裏にタイムリーを放った半田南十(1年)は攻守交替で守備位置に就くと頭を下げ、声援に感謝を表した。(写真・文=THE ANSWER編集部・中戸川 知世)
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「みなと! みなと! みなと!」
5回表。日大藤沢ナインが守備に向かうと、直前の攻撃でタイムリーを打った選手の名前がコールされる。応援席越しに盛り上がりを収めようとカメラを構えた。すると、三塁側をびっしりと埋め尽くしたピンクのメガホンの向こうで、セカンドの位置に就いた半田が応援席に一礼した。
思わずシャッターを切った。野球部の野太いエールと吹奏楽部の美爆音が送られ、とても美しい瞬間だった。
「スタンドにいる部員や親に感謝の気持ちを込めて」
プレーだけでなく、普段から人間性を大事にしている半田。支えてくれている人たちへの「ありがとう」を表した一礼だという。
1年生で唯一ひと桁の背番号4をもらい、「6番・二塁」で出場。中学ではクラブチームだったため、吹奏楽や応援を受けるのが初めて。「辛い時はスタンドを見て、元気をもらいます」。初めての夏、声を枯らす仲間の声援に自分を奮い立たせている。
なかにはベンチ入りできず日に照らされ、汗だくになって応援してくれている上級生もいる。「3年生を甲子園に連れていくためにも常に全力プレーで臨みたい」。今大会で引退する3年生の想いも背負い、1試合でも多くともに戦う。
すぐ近くの応援席から撮影していると、屋根に反響する音と盛り上がりをまざまざと感じた。ミッキーマウスのようにメガホンで耳を作って踊って応援するなど、陽気な雰囲気に選手も自然と笑顔になり、きっと元気をもらえるだろうと納得だった。
試合後の取材中、半田はベンチ入りしている上級生から肩をポンと叩かれた。「半田、マジでナイス!」。夢中でプレーする最中も感謝を忘れず、丁寧に一礼する。そんな実直な姿を見ているからこそ、先輩も信頼を寄せているのかもしれない。
グラウンドとスタンド、それぞれが繋がった日大藤沢の絆を感じた。
(THE ANSWER編集部・中戸川 知世 / Chise Nakatogawa)