高橋大輔の瞳を潤ませた村元哉中の祝福 16年前を真似た言葉にできないパフォーマンスの意味
フィギュアスケートの世界国別対抗戦が13日から東京体育館で開催中。「THE ANSWER」はフォトグラファー・矢口亨氏のフォトコラムを連日掲載。今回は14日に行われたアイスダンスのフリーダンス(FD)。「オペラ座の怪人」を演じた村元哉中、高橋大輔組(関大KFSC)は自己ベストの116.63点で5位だった。
フォトグラファー・矢口亨のフィギュア世界国別対抗戦フォトコラム
フィギュアスケートの世界国別対抗戦が13日から東京体育館で開催中。「THE ANSWER」はフォトグラファー・矢口亨氏のフォトコラムを連日掲載。今回は14日に行われたアイスダンスのフリーダンス(FD)。「オペラ座の怪人」を演じた村元哉中、高橋大輔組(関大KFSC)は自己ベストの116.63点で5位だった。
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充実の演技を終えた高橋の目の前に最高の光景が現れた。村元がファントムのように仮面を剥ぎ取る動きを見せる。高橋がシングル時代の2007年世界選手権で日本男子初の銀メダルを獲得したのも今大会と同じ東京体育館で演じた「オペラ座の怪人」。村元はその16年前のフィニッシュポーズを真似てパートナーを祝福したのだった。
写真の中の高橋はガッツポーズをしながら驚いたような表情で瞳を潤ませている。村元のパフォーマンスの意味を言葉にするのは難しい。でも、言葉じゃない曖昧なコミュニケーションだからこそ、心に深く広がりながら伝わる。写真には「かなだい」にしか作れない「オペラ座の怪人」のオリジナルのハッピーエンドが写っていた。
■矢口 亨 / Toru Yaguchi
フォトグラファー。山形県上山市生まれ。上智大を経て02年に報知新聞社入社。12年ロンドン五輪、21年東京五輪、22年北京五輪などを取材。フィギュアスケートの撮影は19年の世界選手権(埼玉)から。今年2月に退社し、フリーに転身。著書に写真集「羽生結弦2019-2020」「羽生結弦2021-2022」など。
(矢口 亨 / Toru Yaguchi)