桃田賢斗、4年ぶりファイナルズVで年間11勝 憧れの英雄超え「彼を超えたこと嬉しい」
国際大会11勝の偉業で五輪前年を締めくくった。バドミントンの国際大会BWFワールドツアーファイナルズは15日、中国・広州で各種目の決勝戦を行い、男子シングルス世界ランク1位の桃田賢斗(NTT東日本)は、2-1で好敵手のアンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア)を破り、大会の前身である2015年BWFスーパーシリーズファイナルズ以来4年ぶり2度目の優勝を飾った。表彰式の後、テレビインタビューを答えた後に優勝者会見に臨んだ桃田は、まだ息を整えようとしているほどの疲労感の中で「世界のトップ8が集う大会で、一球一球、大事に臨んだ結果が優勝につながって、本当に嬉しく思います」と話し、表情を崩した。
2度目の優勝に進化の手応え、「無敵」の凄みで東京五輪イヤーへ
国際大会11勝の偉業で五輪前年を締めくくった。バドミントンの国際大会BWFワールドツアーファイナルズは15日、中国・広州で各種目の決勝戦を行い、男子シングルス世界ランク1位の桃田賢斗(NTT東日本)は、2-1で好敵手のアンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア)を破り、大会の前身である2015年BWFスーパーシリーズファイナルズ以来4年ぶり2度目の優勝を飾った。表彰式の後、テレビインタビューを答えた後に優勝者会見に臨んだ桃田は、まだ息を整えようとしているほどの疲労感の中で「世界のトップ8が集う大会で、一球一球、大事に臨んだ結果が優勝につながって、本当に嬉しく思います」と話し、表情を崩した。
昨年も決勝に進んだが、中国のエースであるシー・ユーチに対策を練られ、完膚なきまでに叩きのめされた。その悔しさも忘れてはいない。「昨年はラリーをして、決められてしまう展開だった。今回は守備だけでなく攻めていこうとしたし、自然とスピードも出ていたと思う」と進化の手応えを語った。
各種目の年間成績上位8人のみが出場資格を得るハイレベルな大会での5連戦。苦戦をしながらも4人総当たり1回戦の予選ラウンドを全勝で突破。準決勝では、予選ラウンドで破った世界ランク19位のワン・ツーウェイ(台湾)に再び勝利。決勝では、10月のフランスオープンで敗れた相手に借りを返した。しかし、敗戦寸前まで追い込まれた。対戦成績は10勝4敗と勝ち越しているが、スピードがあって攻撃的なプレーを得意とするギンティンは、苦手なタイプ。7月に国内で行われたダイハツヨネックスジャパンオープンで破った試合でも勝っているが、ファイナルゲームの終盤まで競り合う接戦。国内のバドミントンファンが、桃田にとって最も危険な相手と認識している相手だ。
第1ゲームを17-21で奪われ、第2ゲームも9-5から-12と7連続失点で9-12と逆転を許す苦しい展開だった。第2ゲーム終盤、落ち着いて丁寧なラリーで相手のミスを誘って21-17で取り返したが「相手のスマッシュが取れないと感じて心が折れそうになった」と認める大苦戦。ファイナルゲームも5-12と大ピンチ。しかし「いつもは強気にストレートへスマッシュを打って来る相手が、クロスにスマッシュを打って来て、自分のレシーブがノータッチで決まった。相手が疲れているか、勝ち急いでいるか、変化があると冷静に見られたのが良かった」とロングラリーで相手の体力を奪い、起死回生の7連続得点で窮地を逃れた。最後は、足を痛めた相手にラリー力の違いを見せつけ、21-14で勝利。大逆転で優勝を飾った。
1年間で90%以上の勝率を誇り、夏の世界選手権、冬のワールドツアーファイナルズとビッグタイトルも制して、シーズンを駆け抜けた。「1年間、結果だけを見れば充実していましたが、連戦はきつく、国内の大会や地方への遠征もあり、すごく疲れました。自分でもよくやったと自分を褒めてあげたいところですが、まだ国内のリーグが少しあるので、駆け抜けて良い1年で締めくくりたいです」と話した桃田は、また11個目の喜びを日本に持ち帰る。6月に引退した憧れのレジェンド、リー・チョンウェイ(マレーシア)が記録した年間主要国際大会10勝を超える活躍で「記録で彼を超えられたことは、すごく嬉しい」と笑顔を見せた。
年が明ければ、いよいよ東京五輪イヤー。スピードを上げた中でのショットの精度など課題も感じているというが、負ける試合は極端に減っている。苦しくなっても最後は、勝つ。来年も「無敵」の凄みを滲ませる桃田のシーズンになるはずだ。
(平野 貴也 / Takaya Hirano)